【移籍の舞台裏】神谷優太が愛媛へ武者修行。東京Vユースから 青森山田高に‟移籍”した時と共通する覚悟
「2020年の東京オリンピックを目指して」
今季のリーグ戦出場は7試合・0得点に止まった。昨季J1で公式戦19試合(リーグ14試合)に出場していたことを考えると、ケガの影響はあったとはいえ、やはり物足りない数字だ。
今回の愛媛への移籍に際し、彼は湘南の公式HPに次のようにコメントを寄せている。
「湘南ベルマーレでの2年間を経て、今、自分に一番足りないものは勝負への責任を負うことだと感じています。これから2020年の東京オリンピック出場を目指すことや、その先の未来、目標を考えると、自分がチームを勝たせる力を持つ必要があり、それを得るために今回の決断をしました。この2年間、サポーターの方々をはじめ選手、クラブ関係者の方々にはたくさん助けていただきました。これからは自分が皆さんを助けられる力を身につけられるよう、愛媛で頑張ります。これからも応援宜しくお願いします」
神谷は愛媛の地で、青森山田高を選んだ時のように改めて徹底的に自分自身を見つめ直し、戦おうとしている。語弊はあるが極論でいえば「楽しむ」ことは、二の次にして。彼は「勝負の責任を負いたい」と、徹底的にチームの勝利にこだわる覚悟だ。
もちろん、これまでもチームのために走ってきた。湘南を誰よりも大切に思い、クラブを背負って戦ってきた。ただ、それを表現できないもどかしさは膨らむばかりだった。ピッチに立ちたいという飢えを、移籍によって大きなパワーに変えようとしていることも伝わってくる。そうやって熱情をほとばしらせる20歳の神谷は、これまでとは一味違った魅力的な戦士に育っていくに違いない。
もちろん、楽しむべきではないと言っているのではない。齋藤学や高萩洋次郎らが台頭していった愛媛の競技場では、四国のサッカーをずっと見守ってきた目の肥えたサポーターが待っている。彼らを唸らせることができるか。愛媛では試合後に笑顔を浮かべる姿を、たくさん見せてほしい。
取材・文:塚越 始
text by Hajime TSUKAKOSHI
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