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鳥栖パワハラ問題。前GMが虚偽報告、金明輝前監督も関係者へ不利な発言をしないよう隠蔽迫る

サガン鳥栖のエンブレム (C)SAKANOWA

電話で口止め、報道への反論も「事実に反するもの」。Jリーグはクラブに対し非常に重い300万円の罰金を科す。

  サガン鳥栖の金明輝 前監督によるユース(高校生)、トップ選手、さらにスタッフや職員への常態化していた暴力・暴言によるパワーハラスメント問題で、「サガン鳥栖に関する通報等に係る調査チーム」が12月30日に発表した調査報告書には、クラブの問題点についても指摘している。Jリーグは鳥栖に対し、罰金300万円とけん責という非常に重い懲罰を下している。

 同調査チームは、金氏があまりに強力な力と権限を有していたと「スポーツ現場で起こり得る状況」を指摘。そうしたなか、6月の選手への足払い事件の際に発足した「第三者委員会」のヒアリング調査を前に、金氏がチーム関係者に電話で、自身に不利な回答をしないよう求め、その電話があったと答えないようにと、「隠ぺい」と言える行為に及んでいたことも報告されている。

 しかも金氏は「第三者委員会」による選手・スタッフへのヒアリング後、チーム関係者に対し、ヒアリングで自分の問題行為を指摘した関係者を非難したことも明らかになった。

 同調査チームは、クラブの問題点にも言及する。

 内田弘会長、福岡淳二郎社長は2021年2月に鳥栖の取締役に就任したばかり。過去の金氏の言動を直接見聞きすることはほとんどなかったとはいえ、足払い事件が問題となって以降の対応については、「不適切・不十分なものだったといわざるを得ない」と断罪している。

 何より今回の調査で、Jリーグへ「事実に反する報告」があったことも分かった。

 足払い事件を受けたあとの前ゼネラルマネジャーである新里裕之氏と選手のヒアリング結果、無記名アンケートなどで、「以前から金前監督の行き過ぎた行為を見たことがある」「キャンプではマーカーで選手の頭を叩いていた(昨年以前もある)」「理不尽なことはこれまでに何度もあった」「過去に何度か暴行を受けたことがある」「顔を叩かれたことがある」「この暴力暴言が以前からあったことをクラブが知っていたと聞いています」「今回、監督がやったことは決してよくないが、正直、今に始まったことではないと思う」とした報告が上がっていた。 福岡社長と新里氏はチームスタッフらの報告を受け、遅くとも2021年7月28日までにその一部は認識していた。

 しかし内田会長、福岡社長はその後クラブが8月6日に実施した選手との個別面談で、こうした点について十分な聞き取りを行わなかった。

 さらに、事実の「隠蔽」も明らかとなった。

 金氏はこの調査チームに対し、ユースチームの監督時代に選手を突き飛ばし、自動販売機にぶつけたという報道内容について、「(新里氏に対して)ありましたと答えました」と供述している。実際に新里氏は、金氏が自販機事案を事実と認めたことをクラブと共有。広報対応の必要性についても言及した。

 ところが9月2日、新里氏は、こうした発言を撤回。「(金氏は)記事の内容についてはやった記憶はないし覚えてないとのことでした」と、虚偽と言える発表を行っていた。

 同調査チームは「そもそも前日に金氏より聞き取った、選手に対する暴力行為を認める旨の極めて重要な発言について、新里氏に思い違いや勘違いがあったとはおよそ考え難い。にもかかわらず、その翌日、同氏から前日とは全く異なる報告がなされるという状況は極めて不自然である」と疑問視している。

 クラブ側は、このような不自然な変遷を経た新里氏の報告をもとに、9月2日、リーグに以下のような報告を行っている。

・昨日(9月1日)の早朝、記事を見た監督が今後再びクラブに迷惑をかけることを心配し不安に感じてGMに連絡してきたため、GMはすぐに監督に会いに行きました。その際には、現在のチーム状況やクラブの今後のことなどをGMと監督の二人で話し合っており、「記事の内容についてはやった記憶はないし覚えてないとの事でした(同調査チーム)」。GMからは「まずは落ち着いて気持ちを整理していこう」と話したと報告を受けております。

 この対応について、調査チームは「こうした報告は、結論として事実に反するもの。クラブ側は、不自然な変遷を経た新里氏の報告について、十分な確認を行わず、こうした報告に至っていた」「本件に対するクラブ側の認識の甘さを示すものと言わざるを得な い」と厳しく指摘している。

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[文:サカノワ編集グループ]

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