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鹿児島「幻のゴール」判定は妥当?キーパーチャージは20年以上前に廃止

甲府の山本英臣。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

それでもGK河田晃兵が一瞬、動きを妨げられていた。

[J2 3節] 鹿児島 0-1 甲府/2019年3月9日/白波スタジアム

 ヴァンフォーレ甲府の1点リードで迎えた77分、鹿児島ユナイテッドFCの牛之濵拓がコーナーキック(CK)からヘディングでゴールネットを揺らして同点に追いついた……かと思われたが、ノーゴールの判定で取り消された。果たして、どのようなファウルがあったのか。このシーンが『DAZN』の「Jリーグジャッジリプレイ」で紹介され、日本サッカー協会(JFA)の上川徹トップレフェリーグループシニアマネジャーが解説した。

「(反則か反則ではないか)どちらとも捉えられると言えますが、レフェリーはゴールキーパー(GK、今回であれば河田晃兵)の前に攻撃側の選手が立っていると、そこでどのような目的や意図を持っているのか、そこにフォーカスはします」

 まず、上川氏はそのように主審の「視線」について説明。そのうえで次のように、主審の判定について説明した。

「やはり(CKが蹴られたあとに牛之濵の)右手が上がって、GKがジャンプできないようにしているような動きが映像から見られます。レフェリーもその同じ角度にいて、こうした場面では、ゴール前で何か問題がないか確認しています。僕はレフェリーの判断を尊重できると思います」

 そのように上川氏は主審のポジションも良く、GKの動きを妨害したとする判定を支持するとした。実際、CKが蹴られた瞬間、牛ノ濱の手によって一瞬GKが前へ出られなくなり、そのあと、ヘディングで決めていることが分かる。

 また、1997年以降「キーパーチャージ」というファウルはなく、ゴールエリアでGKが守られている――というルールはない。GKも他のフィールド選手と同等の扱いを受けている。ただGKのほうが身体的な可動範囲は広いので(腕を伸ばせる)、その動きを妨げる正当なチャージ以外の危険なプレーは、今回のように反則になる。

 現状でゴールエリアは、ゴールキックを蹴る時のライン、また、ゴールエリア内でファウルによりフリーキック(FK)が与えられた場合(攻撃側の間接FKの際はライン上から、守備側のFKはエリア内の任意の場所から)に活用されている。

 試合は結局、52分の小椋祥平のゴールで、甲府が勝利を収めた。甲府は2勝1分、鹿児島は1勝2敗。

 ゴール前の競り合いでは、疑わしい行為(例えば、相手を抑え込んだり、相手へ手を出したり……)をしない。そんな小さな心掛けも、ゴールを生業にする攻撃的な選手が大成するための大切な条件の一つかもしれない。

文:サカノワ編集グループ

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