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父は元浦和の治氏。「僕は黒子」横浜の広瀬が埼スタでJ1初ゴール

まさにコントラスト…。歓喜する横浜の広瀬、三好、遠藤。うなだれる浦和の柏木。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

浦和ユース出身。反骨心や対抗心は「昔はあったけど、今はない」。

[J1 6節] 浦和 0–3 横浜FM/2019年4月5日/埼玉スタジアム2〇〇2

 横浜F・マリノスのDF広瀬陸斗が4月5日の浦和レッズ戦、J1初ゴールを決めた。チームは2試合連続の無失点で、3-0の快勝。今回は攻守ともに噛み合っての快勝に貢献した。

 広瀬は前節のサガン鳥栖戦(△0-0)に続き、左サイドバックで2試合連続フル出場。2-0で迎えた70分、右サイドで松原健がマルコス・ジュニオールにパスを預ける。すると浦和の選手たちが、マルコス・ジュニオールに集中。逆サイドから駆け込んだ広瀬(さらに三好康児も空いていた)が、背番号9からの横パスを受けると、冷静にトラップから右足を振り抜き、シュートを沈めた。

「ワンタッチで打とうか、ダイレクトで打とうか、迷えるぐらい(時間があり)フリーで、マルコスがいいボールをくれました。すごく落ち着いてできました」

 広瀬はそのようにゴールシーンを振り返った。また、ここ2試合、左サイドバックで起用されていることについて、彼は次のように語った。

「自分が、自分がっていうよりも、自分は目立たなくていい黒子のような役割。(天野)純くんやマルコスが動きやすいように心掛けていることが、今のところ良く行っているのかなと思います」

 父は元浦和の治氏。浦和ユースを経て、水戸ホーリーホックに進み、水戸、徳島ヴォルティスとJ2で結果を残して、今季、初めてJ1のステージに立った。アンジェ・ポステコグルー監督の評価は高く、開幕からスタメンに抜擢。開幕から3試合は右サイドバックでの出場だったが、相次ぐ選手の負傷離脱に伴い、左にスイッチして起用されてきたが、その期待に応えてみせた。

 しかも埼スタでのJ1初ゴール。特別な日になった。

「小さい時から(浦和で)やってきていたので、埼スタで決められて良かったです。(気持ち良かった?)はい、気持ち良かったです」

 浦和ユースから昇格できず、当時はまだ成績も芳しくなかった水戸に進んだ。当初は反骨心も抱いて闘っていた。が、今は浦和へのライバル心はそこまでないという。

「(反骨心や悔しさは)昔はありましたけど、今はないです。(浦和ユースから)昇格できず、水戸にいた時は、同期の関根(貴大、シント=トロイデン)が活躍していたこともあり、上がれず悔しい思いがありました。ただ、J2の中でも試合に出て、『やれている』と思えて、プレーできていました。そこから焦ることなく自分のペースでやって来ました」

 普段は『黒子』に徹しているが、攻める時には豪快に行く。そのギャップが売りの一つでもある。「そのように小さい頃からやってきたことが生きてきているのかなと思います」と、広瀬は自身のスタイルにはプライドを覗かせた。

「まだ6試合。シーズンは始まったばかりなので、これからどんどんゴールも増やせていければと思います」

 サッカー人生の一つの節目になるようなゴール。広瀬のみならず、横浜FMにとっても、大きな意味を持つ大切な”一歩”を踏み出した。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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