【U-20W杯日韓戦】「韓国の星」は「日本の元気印」菅原由勢が止める!
日本の菅原由勢(5番)。15番は鈴木冬一。(C)FIFA via Getty Images.
日本代表の世界大会での課題、「ベスト16の壁」を乗り越えろ。
[ポーランドU-20W杯 ベスト16] 日本 – 韓国/2019年6月4日(日本時間5日0:30)/ルブリン
イングランド戦の光景は今なお脳裏に焼き付いている。
2017年のU-17ワールドカップ(W杯)決勝トーナメントの1回戦、日本はカラム・ハドソン=オドイ(チェルシー/イングランド)らを擁するサッカーの母国と激戦を繰り広げ、0−0の末にPK戦で敗れた。この大会で優勝を果たすイングランドをギリギリまで追い詰めたことは賞賛されるべきパフォーマンスだったが、選手たちは口々に悔しさを滲ませていた。
ポーランドU-20W杯に出場するU-20日本代表には、当時を知る7人が選ばれており、いずれもベスト16の壁を越えるためのキーマンに挙げられる選手ばかり。
「僕はイングランド相手に悔しい思いをさせられた。『ベスト16の壁』を越えられずにいることは、日本でも結構言われていると思う。今、僕たちでこそ崩せる壁。そこを崩すためにやってきたので、明日が本当に楽しみ」
菅原由勢(名古屋グランパス)はそのように語る。U-17W杯を知る一人であり、ベスト8進出への人一倍強い思いを持っている。
その心意気はプレーにも現れている。3試合連続でフル出場中の右サイドバックは、明晰な読みと球際の強さで貢献。チームのために戦い、一戦ごとに安定感と信頼も増し、メキシコ、イタリア戦は2試合連続で無失点に抑えた。
「自分の良さばかりを出そうとしているわけではないです。日本の勝利のため、チームのために戦う部分がプレーにつながっています」
相手に競り勝てるかどうか五分五分の状況でも身を挺し、オフザボールでも最後まで走りきる。劣勢になれば、誰よりも大きな声を出して引き締める。
トレーニングでは常に明るく振る舞い、選手だけではなくスタッフにも冗談を飛ばす。彼の一挙手一投足を見ると、思わず取材陣にも笑みが溢れる。彼のチームを盛り立てる姿勢が、雰囲気をより明るいものにしているのは確かだ。
このあと決勝トーナメント1回戦で、韓国と対戦する。日韓戦――。
「グループリーグのように最悪0−1でも良いというのが効かない。それがトーナメント」と気を引き締める菅原に気負いはない。むしろ、自然体で宿敵に立ち向かおうとしている。
イ・ガンイン(バレンシア/スペイン)らを抑え、チームを16年ぶりの8強入りに導けるか。「日韓戦ですし、全ての勝負に勝たないといけない」と意気込む“日本の元気印”は、新たな景色を仲間と見るために全力を尽くす。
取材・文:松尾祐希(フリーライター)