【川崎】「知念慶&ダミアン」強力2トップの課題と可能性
川崎の知念慶(左)とレアンドロ・ダミアン(右)。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
知念のヘディング弾からOG獲得。しかし明治大相手に1点に止まる。
[天皇杯 2回戦] 川崎 1-0 明治大/2019年7月3日/等々力陸上競技場
川崎フロンターレの知念慶とレアンドロ・ダミアンが、6月14日のJ1・15節の北海道コンサドーレ札幌戦(△1-1)以来となる2トップを組んで先発した。知念が先制点(OG)をもたらすヘディングシュートを放ったものの、二人が絡んで決定機を作り出すシーンは限られた。強力2トップがフィットする日は来るのか――。
明治大のアグレッシブさにやや押されながらも、15分、川崎が先制に成功する。下田北斗のコーナーキックに知念がジャンプヘッド。すると相手のクリアが味方に当たり、ボールがゴールラインを割った。
その後も川崎が数多くのシュート(計11本、前半6本)を放ち、力の差は随所で見せつけた。が、2トップが絡んで崩したシーンは非常に限られた。
この2トップは、鬼木達監督がこれまで何度か起用してきた。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ4節の蔚山現代戦(△2-2)では、二人がほぼ同時にボールに触れた”ツインシュート”のゴールが話題を集めた(記録は知念の得点に)。
しかし、噛み合い出してきたように見えた2トップのコンビネーションが、この日は明大のソリッドな守備に苦しみ、鳴りを潜めた。結局、試合はそのまま1-0に終わった。
知念は試合後、先制点の場面について「相手のカバーも入ってきていたなか、運が良かったです」と振り返った。そして、そのあとは悔しさと反省の言葉が続いた。
「2トップはなかなか難しい。今日は押し込まれた時、無駄に追うことが増えてしまいました。意思疎通をもっと深めていきたい」
Jクラブユース出身者が大半を占めるなどレベルが高いとはいえ大学生相手に、「結局、(川崎が)個人でやれてしまうので、五分五分のボールも何とか自分たちのものにできたりしていました。そこから裏のスペースも突けていて、決め切れていれば、楽な展開になっていたと思います。もっと自分たちのペースで試合を運びたかったです」と、唇を噛んだ。
とはいえ、知念&レアンドロ・ダミアン。二人が前線に並んだ時、相手チームに与える脅威は相当だ。スピード、高さ、強さ、そして”パンチ力”。あらゆる旨味が凝縮された2トップと言える。指揮官が何とかしてチームの武器にしたいと考えるのも理解できる。
知念は「もうちょっとお互いの良さを出せれば、もっと怖いコンビになると思います。まだ、そういった良さを出せるシーンが少なかったかなと思います」と課題を挙げていた。
その粗削り”すぎる”ところを含め、可能性を感じる2トップだ。小さなキッカケで突如ハマるのか、いくつもの修正が必要なのか。そのあたりが見通せないところでもある。ただ、ピッチ上での主張と協同の上手いバランスを見出せれば、爆発もあり得るはず。川崎のリーグ3連覇へのポイントの一つになってくるか。
[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI