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【湘南】岡本拓也が強調「僕らには湘南スタイルしかない」。一方で実感するのが…

湘南の岡本拓也。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

曺貴裁監督の存在。「影響力の大きな人だから」。

[J1 23節] 湘南 2-3 鳥栖/2019年8月17日/Shonan BMWスタジアム平塚

 湘南ベルマーレのDF岡本拓也は、サガン鳥栖戦で74分に古林将太と交代出場してアディショナルタイムを含め約20分間プレーした。90+5分の失点でチームは勝点を失う結果となり、パワーハラスメント疑惑の調査開始に伴う曺貴裁監督不在のなか、「やるべきことは変わりませんでした。ただ、こうした状況ですし、結果がほしかったなと思います」と悔しさを噛み締めた。

「僕たちはこの1週間、真摯にサッカーと向き合ったし、良い試合はできましたけれど、あと一つ、粘りが足りませんでした」

 岡本はそのように「粘り」が足りなかったと唇を噛んだ。

 この試合に臨むにあたり、選手同士でも、いろいろな考えや意見を交わしてきた。そのなかで辿り着いたのが、「僕らには湘南スタイルしかない。それをやり続けよう、ということでした」。

 高橋健二コーチが暫定的に指揮を執るなか、そのスタンスは変わらず「この1週間、やってきました」と言う。

 何よりこの日の1万3000人を超える大観衆の声援が、改めて、この「湘南スタイル」に関しては間違っていないのだと実感する機会となった。

「結果はついてこなかったですけれど、スタジアムに来られたお客さんは面白い試合を観られたと思いますし、これを継続して、結果につなげていくしかないかなと思います。(不安は?)不安がないと言えば嘘になるし、この先どうなるか分からないなか、試合はやってくるので、僕としてはもっとコンディションを上げて、もっとチームの力になれるように、自分自身と向き合ってやっていくしかないと思います」

「たくさんお客さんが入ってくれて、いろいろあるなかで、すごくたくさんの皆さんの応援が僕たちのエネルギーになりましたし、感謝しています」

 この先の読めない部分と言えば、曺貴裁監督の存在があまりに大きく、その不在がどのように影響していくかという点だ。それは正直、誰も分からないところではある。ただ、それを吹き払う意味でも、選手たちは戦いに集中するしかない。

「(試合結果よりもまず)影響力のある人なので、いるかいないかで、(いないと)違和感があるとは感じます。ただ、(当面は)いないと、分かっているので、そのなかでやるしかないです」

 浦和レッズユース時代の高校3年時に特別指定選手として、浦和トップチームで一時右サイドバックのレギュラーの座を掴んだ。その後、浦和に昇格を果たしたあとはなかなか出場機会を得られず、V・ファーレン長崎で実績を積み、再び浦和を経て2016年から湘南へ。ウイングバックとサイドバックを遜色なくプレーできる1対1の守備に無類の強さを誇るファイタータイプのDFは、期限付き移籍で2年間プレーしたあと、昨季完全移籍を決意した。今季からは背番号「6」をつける。

 曺監督のもとで自信を掴み飛躍を遂げてきたDFは27歳、実質プロで10年目を迎える。

 指揮官不在のなか、湘南の選手たちはそのように、今はピッチの戦いだけに集中している。

 デリケートな問題であり、調査も慎重を期し時間が掛かる可能性は高い。曺監督の活動自粛もクラブが決めた措置ではある。ただ、そのなかでJリーグから、できればいつ頃までに調査結果や第一報を出せるのか、または(選手個々からの聞き取りなどもあるはずで)シーズン後まで掛かってしまいそうなのか、この状況を打開するためにも、そのあたりは早い段階で何かしら発表できないだろうか。

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[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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