【鹿島×浦和】大槻監督の一発退場。新ルールでは”親分が子分の身代わり”になるケースも
大槻毅監督。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
メディカルスタッフにレッドカードが出た場合は?
[リーグ 30節] 鹿島 1-0 浦和/2019年11月1日/カシマサッカースタジアム
鹿島アントラーズ対浦和レッズ戦の84分、浦和の大槻毅監督がベンチ前のテクニカルエリアで鹿島の永木亮太を突き倒したとして、荒木友輔主審から退場処分を命じられた。この夏の国際的なルール改正により、ベンチ入りしたスタッフにもイエローカードとレッドカードが提示されるようになり、J1では初の「一発レッドカード」となった。
公式記録では、84分、大槻監督は「乱暴な行為」で退場処分となっている。また90+2分、鹿島のキム・ヨンハ通訳にも「異議」でイエローカードが出ている。
これまでは主審の裁量によって監督らを「退席処分」にすることができた。そしてこの夏のルール改正によって、規則を明確化するため、ベンチにいるスタッフもイエローカードとレッドカードの対象となった。
Jリーグではこれまで主審への「異議」で、J3のY.S.C.C.横浜のシュタルフ悠紀リヒャルト監督が退場処分となり、1試合の出場停止処分が科されている。
大槻監督はJ1リーグ初の監督の一発退場。11月5日のホームでの32節・川崎フロンターレ戦はベンチ入りできない。規律委員会からさらなる処分が下される可能性もある。
では、新ルールは具体的に、どのように明記されているのか。国際サッカー評議会(IFAB)がまとめた2019-2020シーズン競技規則「5条・主審」の「3項・職権と任務」の「懲戒処置」で、次のように記されている。
責任ある態度で行動しないチーム役員に対して処置をとり、注意する、イエローカー ドで警告する、レッドカードで、競技のフィールドとその周辺(テクニカルエリアを含む)から退場させる。反則を犯した者を特定できない場合、テクニカルエリア内にいるより上位のコーチが罰則を受ける。
そのように、もしも誰が違反をしたのか分からない時(例えば、審判や相手チームの選手・スタッフに対し誰が危害を及ぼしたのか分からない場合、複数いた場合、審判や相手をののしった場合など)、「上位のコーチ」つまり一般的には監督がその責任を取らなければいけないということだ。
そこで一つ疑問に残るのが、もしもメディカルスタッフにレッドカードが出された場合だ。不測の事態に備えてベンチでスタンバイしている医療の専門家が万が一、違反を起こして退場処分を食らった場合はどうなるのか。
それについて、競技規則では次のように明記されている。
退場となる反則を犯したチームのメディカルスタッフは、他にそのチームで対応でき るメディカルスタッフがおらず、競技者に治療が必要な場合、試合にとどまることができる。
本来いてはいけないけれども……例外的に必要に応じてベンチに留まることができるということだ。
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[文:サカノワ編集グループ]