内田篤人が気にするVARの先の信頼関係「俺の下手なドイツ語でもね…」

鹿島の内田篤人。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

Jリーグと審判。課題はコミュニケーションの部分か。

[J1 30節]  鹿島 – 浦和 /2019年11月1日19:00/カシマサッカースタジアム

 今シーズンのルヴァンカップ決勝トーナメント(プライムステージ)では試験的にビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されて、いわゆる「誤審」は減った。決勝の川崎フロンターレ対北海道コンサドーレ札幌戦では、VARによって川崎の谷口彰悟のファウルが決定機阻止(DOGSO)の条件に該当するとして、イエローカードからレッドカードに切り替わり、退場処分となった。

 来季からはJ1全試合でVARが採用される。プレーの”悪質さ”より、ルールがより適切に”遵守”される。今後、そういった流れになることも、こうして判定から明らかになった。

 ただ、ハンドリングのファウルやフィジカルコンタクトについては、実際に間近でプレーを見ている主審の「主観」の判断が重視(尊重)されることにもなる。そのため誤審とは言い切れない「グレーゾーン」は今後も存在する。実際、決勝戦でも得点時を含めてそういったシーンがいくつかあり、判定を巡る議論自体は今後も続きそうだ。

 今シーズンこれまでの誤審を巡る混乱ぶりを見るだけでも、より正確なジャッジが下されることは間違いなくプラスに働くと言える。ただ、VARが導入されても、今、Jリーグにある判定を巡る課題がすべて改善される、というわけではないということだ。

 そういった意味で、鹿島アントラーズの内田篤人は、9月のルヴァンカップ・浦和レッズとの第1戦のあと、VARが導入された「先」の課題や展望について、興味深い話をしていた。彼自身がシャルケ04でプレーしていた頃、判定(審判)にそこまでストレスを感じることがなかったのはなぜか? そういった経験談に話は及んだ。

「信頼関係であり安心感。俺はそれがもっとあっていいと思う。ミスジャッジは絶対にある、人間がやるんだから仕方ない。ただ、俺はドイツでプレーしていた間、こんなに判定にイライラすることはなかったんじゃないかなと思う」

 ジャッジの基準の曖昧さ、主審と副審の連携不足。Jリーグではそういったところに議論が及ぶ。ただ、むしろ別のところに課題の肝心な部分はあるのではないかと指摘する。

「審判が試合を作るという面もある。ただ、なぜかストレスが溜まる。もうちょっと話をしてくれてもいいのかなとは思う。毅然とした態度と、言えるかもしれない。ただ、ドイツでプレーしていた時、俺がどんなに下手なドイツ語で話しかけても、(審判は)ちゃんと耳を傾けて聞いてくれた。何かあったら『ウッシー』と名前を呼んで声を掛けてくれたりもした。ただ、どこか、(Jリーグは)対審判、対選手になってしまっているところがある。そこに関しては、きっと観ている人もストレスがあり、そういう場合はやっているほうもすごく感じている」

 内田はそのように語っていた。

 ここ数年の間に大きく変わったところと言えるが、主審がいわゆる”毅然”と問い掛ける選手を言下に拒否したり、制したりすることはかなり減った(もちろん、そうする必要がある場合もあるだろうが)。ただ、それでも主審が試合を”裁く”という、どこか相対している感が強い。

 コミュニケーション能力。確かにJリーグでは、それが上手い、と感じる主審は少ない……あまり見当たらないと言える。なぜか、威圧的に感じるのだろうか、外国籍選手に対して厳しく対応する審判も少なくない。

「シーズン前のルール説明会で、審判の方から、これはレッド、これはイエロー、これは白という詳しい説明を受ける。でも、大切なのは、そこだけではないかなと思う」

 審判には、複雑化するルールを一瞬で判断する能力がまず求められる。ただ、内田のそういった経験談を含めて現状を考えると、確かに、より選手たちをピッチの戦いに集中させるためのコミュニケーション――そういった人としての大切な要素や魅力も、より求められる。それがVAR導入後、試合をより魅力的にするための課題の一つにもなってきそうだ。

 鹿島は11月1日19時から、ホームで浦和レッズと対戦する。

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[取材・文:塚越 始]

Posted by 塚越始

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