マルセイユが声明、ネイマールの人種差別発言を全面否定。電話番号が公開され「死の脅迫」をスペイン人DFは受ける
ネイマール。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
アルバロ・ゴンザレスのプライベートの携帯番号、ブラジルのSNSで晒される事態に。
[フランス1部] パリSG 0-1 マルセイユ/2020年9月13日/パルク・デ・プランス
フランス1部リーグ、酒井宏樹と長友佑都が所属するオリンピック・マルセイユがパリ・サンジェルマンにアウェーで1-0の勝利を収めた一戦、アディショナルタイムに乱闘劇が勃発して、パリSGの3人、マルセイユの2人が退場する事態に陥った。
その事件が起きる直前の90+5分、ゴールライン沿いで相手をブロックしながらマイボールにしたマルセイユのスペイン出身30歳のDFアルバロ・ゴンサレスの背中を、パリSGのブラジル代表FWネイマールが思い切り突き倒した。
ところが、主審はイエローカードなどを提示しない。ただ、興奮する二人は口論を開始。酒井はアルバロ・ゴンサレスを止めに入ったものの、両者の睨み合いが続いた。
直後、マルセイユのゴールキックから、ファウルを巡り両チームの選手が揉み合いになり、乱闘劇に突入してしまう。その結果、パリSGのライヴィン・クルザワ(レッドカード)、レアンドロ・パレデス(2枚目のイエローカード)、マルセイユのジョルダン・アマヴィ(レッドカード)、ダリオ・ベネデット(2枚目のイエローカード)と、4人が退場処分を食らった。
さらにVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のチェックが入り、この騒動の中でアルバロ・ゴンサレスの頭をはたいていたネイマールも一発レッドカードとなった。
するとネイマールは試合後、アルバロ・ゴンサレスから「黙れ猿」と人種差別発言を言われたと指摘したのだ。この発言が騒動に拍車をかけて、改めて世界を駆け巡ったのだ。
これを受けて、マルセイユは9月14日、クラブ公式声明を発表した。
クラブは、パリ・サンジェルマン戦の勝利は公正であると主張し、「アルバロ・ゴンサレスは人種差別主義者ではないことは、彼のクラブ加入後、チームメイトによって日常的にその行動からも証明されています」と強調し、懲戒委員会の調査にも真摯に応じたという。
そのうえで「この論争は非常に深刻な事態を招いています。クラブは、ゴンザレスのプライベートの電話番号がブラジルのメディアやSNS上で公開されていることを確認したうえで非難します。死の脅迫を含む絶え間ない嫌がらせにつながっています」と、マルセロ・ゴンサレスが命に関わる危機に晒されているというのだ。
マルセイユ市は多様性を認めてきた歴史が土壌にあり、こうした惨劇を根絶するために、常に闘ってきたと“徹底抗戦”する構えを見せる。むしろ「フランスのプロスポーツにおける反レイシズムの象徴」であると訴え、このネイマール発端の騒動に警鐘を鳴らしている。
マルセイユは2011年11月以来となるリーグ戦でのパリSGからの勝利をアウェーで達成してみせた。酒井は右サイドバックでフル出場、加入間もない長友もベンチ入りしている(左SBのアマヴィの退場処分により、次節先発出場の可能性も高まる)。一方、パリSGは開幕から2試合連続ノーゴールでリーグ2連敗を喫している。
注目記事:武藤嘉紀がエイバル移籍で「合意」、指揮官から“贈る言葉”。1年間レンタル、買取オプションなし
[文:サカノワ編集グループ]