岩渕真奈が完全復活を印象付けた価値ある「フル出場」と「93分のゴール」
アルガルベカップのデンマーク戦で岩渕がPKによる2点目を決める。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
高倉監督が語った”話し合い”のエピソード、そして「なでしこジャパンの中心に」という強い期待。
[アルガルベカップ GS] 日本 2-0 デンマーク/2018年3月5日/アルガルベ
なでしこジャパン(日本女子代表)の岩渕真奈が3月5日のアルガルベカップのデンマーク戦でフル出場を果たし、しかも後半アディショナルにPKで試合を決定づける日本の2点目を奪った。右ヒザ外側側副靭帯損傷による手術など再三にわたる大ケガを乗り越えて、昨年12月のE-1東アジア選手権から主力の座を掴んだ。そしてアルガルベカップ第3戦のデンマーク戦でフル出場し、93分でのゴール――。完全復活を印象付けるように『結果』を残した。
なでしこジャパンの高倉麻子監督はデンマーク戦後、岩渕の活躍ぶりについて、次のように語っていた。
「ようやくという印象はあります。彼女は意気込みも強いのですが、E‐1選手権の時など感情のコントロールができず、ちょっとプレーが雑になってしまっていまいがちでした。自分自身にカッカてしてしまうところがあり、とにかく(感情を)コントロールするようにと話し合いもしました」
そのように、指揮官が岩渕に助言をしていたことを明かした。高倉監督は続ける。
「いろんな意味でのコントロール、自分自身のコントロールです。そのあたり、最近の試合では、すごく冷静に試合に臨んでいて、思った以上に動けています。(デンマーク戦でも)交代枠を6人すべて使おうと思いましたが、岩渕に『点が来そうだな』と感じ、ちょっと最後まで引っ張りました」
まさに読み通りの展開となったわけだ。
「本当は流れの中で取ってほしかったですけど、PKでもよく決めてくれたと思います」
そして指揮官は岩渕のアジリティの高いプレーが、欧州などの大型の選手が多いチームに効果的だという確かな手応えを得ていた。
「最初にポストに当てたシュートもありましたが、体が切れていると感じました。やはり相手は彼女のような小回りのきく選手を嫌がっているようでした。彼女も90分間プレーしたことはほとんどなかったので、こうして試合に出続けて、チームに対する責任感も持ち、ただの一選手ではなくて、チームを引っ張ってもらいたい。口先ではなくて、立ち居振る舞いを含め成長してほしいと強く思います」
いろんな収穫と価値の詰まった、岩渕真奈の90分間フル出場とゴールだった。風雨にもめげず深く根を張ったなでしこの花が、また一輪、これから鮮やかに咲こうとしている。
構成:サカノワ編集グループ