【浦和】オリヴェイラ監督初采配、槙野&マウリシオの2トップ”奇襲”は不発に
マウリシオと槙野(写真)の2トップは不発に! 写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
”オズの魔法”試合終盤にパワープレーを仕掛けたが…。
「グラウンダーではなかなかつなげず、特長を消し合うタイトな展開が続いていた。セカンドボールを狙って攻撃を展開するほうが、より効果的だと判断した」
浦和レッズのオズワルド・オリヴェイラ監督が初めて指揮した柏レイソル戦、1点リードを許した試合終盤にそのように説明した、”オズの魔法”といえる采配を振るった。
3-4-2-1から中盤ダイヤモンド型の4-4-2と言える布陣に変更。最終ラインは右から橋岡、岩波、遠藤、菊池。柏木がアンカーに入り、右(中央寄り)・長澤、左(前目)・李、トップ下・武富。そして最前線にCBの槙野とマウリシオが2トップを組むパワープレーの”奇襲”を仕掛けたのだ。
橋岡、菊池、それに柏木が前線にロングボールを放ち、槙野&マウリシオが競ったボールに、武富や李が絡み、さらに長澤も飛び込んでいくという狙いだ。事前に練習していたわけではなく、オリヴェイラ監督の咄嗟の判断で仕掛けたという。
「中盤を使えずにいて、ビルドアップもなかなか上手くできずにいた。そこで攻撃に変化を付けるオプションが必要だったので、ロングボールという選択になった」
マウリシオはそのように語り、選手たちも指揮官の狙いは理解していたと言う。
しかし、しっかり守備を固めた柏ゴールを崩し切ることはできず……。惜しいチャンスはあったが、決定機は作り出せず、オリヴェイラ監督の初陣は0-1のまま敗れた。
オリヴェイラ監督が見せた、戦況を読みながらの勝負の采配。「継続性を重視したうえで、私の考えていることを加えていきたい。この試合に向けて全体のトレーニングができたのは1日だけ。少し時間が必要で、少しずつ改善をしていきたい」と敗戦を悔しみつつ、ここからがスタートだと前を見据えていた。
一方、センターフォワードで先発した興梠は「(ラストのパワープレーは)そのような展開にしてしまったことが、自分たちの責任。先に点を決めるべきだった」と唇を噛んだ。
怒涛の連戦は5月中旬まで続き、週末の28日にはホームで湘南ベルマーレ戦(J1リーグ11節)を迎える。試合のなかで指揮官の意図を汲みながら、それを戦いに落とし込んでいく。そんな実践を通じた作業から戦術理解も深めていきたい。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI