大阪府の吉村知事と本田圭佑「生温い」とJリーグ批判も、クラブライセンス制度の認識不足!? FC大阪がJ3昇格へ最終関門に挑む!!
本田圭佑。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
「観客足らずでJリーグ昇格できへんとか絶対許されへん」。リーグが判断するのはクラブ全体の運営能力、経営基盤。
JFL(日本フットボールリーグ)のFC大阪が11月20日、ホーム最終戦でJ3リーグ昇格基準である観客数を満たすため、様々な施策を展開している。大阪府での3チーム目のJクラブ誕生へ大阪の吉村洋文知事の来場も決定していて、キックインセレモニーを行う。
準会員にあたる「Jリーグ百年構想クラブ」のFC大阪は2試合を残し、J3昇格条件であるJFL4位以内を確定。あとは1シーズンの平均入場者数「2000人」達成するため、ホームゲームでの「3732人以上」を必要とする。
そこで20日の最終節MIOびわこ滋賀戦は、東大阪市花園ラグビー場 第1グラウンドで開催される。ゴール裏席などでは、大阪府民の無料招待も実施され(公式サイトなどで募集中)、クラブも多くの来場を呼び掛けている。
ただ、この「観客数」の規定に噛み付いたのが、大阪府出身でもある本田圭佑だ。本田は自身のツイッター(@kskgroup2017)で吉村知事の投稿をリツイートし、「観客数が少ないと昇格できないとかそんな生温いJリーグのルールは今すぐに変えるべき。勝ち続けた選手たちに失礼すぎる」と指摘したのだ。
これを受けて、来場を呼び掛けていた吉村知事(@hiroyoshimura)は、「本田さん、マジそうなんすよ。僕も最初聞いた時、そんなルールある〜?って思いました。勝ち続けた選手達が観客足らずでJリーグ昇格できへんとか絶対許されへん。圧倒的な観客数でJリーグ昇格を決め、このルールがいかにおかしいかも世にしらしめましょう。皆さん、11月20日は花園集合よろしくです!!」と訴えた。
JFLからJ3に昇格するためには、Jリーグから「J3クラブライセンス」が交付されなければいけない。条件は「順位はJFL4位以内、かつ百年構想クラブのうち上位2クラブであること」「平均入場者数2000人超」の二つ(すでに奈良クラブが来季昇格を決める)。そのため、二人はその“入場者数だけ”で昇格を認めないのか、とこのルールを疑問視しているのだ。
ただし、クラブライセンスの本来の目的は、ザックリ言うと、そのクラブにプロの興行であるJリーグで戦っていく運営能力があるか、安定した経営基盤があるか、を見極めるところにある。
本田の言う「強さ」は成績で証明されても、プロクラブとして継続して運営していけるか、発展していける経営のベースはあるのか。その指標となる『クラブ力』を知るうえで、平均「2000人」が定められている。
もちろん、アマチュアとプロでは集客が異なりすぎる、無料招待もカウントされるのか、カズがいる鈴鹿ポイントゲッターズ戦頼みなところもある、1試合大きなスタジアムで開催すればいいのか――など、ツッコミどころは確かにある。本田が選手目線に立ち、理不尽さに怒りをぶつける気持ちもある意味必然だ。
また、コロナ禍で特にJリーグでも下位リーグは地方に行くほど観客動員に苦戦を強いられている。例えばJ3リーグの今季18チーム中9チームが11月10日現在、平均入場者数1000人台と苦しんでいる。
そう考えるとJFLでの「平均2000人」は明らかに高いハードルである。
それでも、その背景にある、スタジアム周辺を含めた賑わいや活気、アクセス、地元圏域のサポート……そういったJリーグの掲げる「地域密着」に結び付く。またこの先、J2やJ1、あるいはACL(アジアチャンピオンズリーグ)出場など未来を考えれば(よりグレードの高い「J1クラブライセンス」が必要)、一つの目安として最初の関門「2000人」の妥当性もまた見えてくる。
もちろん、時代に即した別の条件を定めるのも一案であり、Jリーグでもこの“2000人基準”については議論がされている。また同時に、J3リーグが多くの課題を抱えたままであるという現実も浮かび上がる。
今回の“花園大作戦”も、FC大阪とJリーグが基準をクリアするために協議していったなか、開催が実現したそうだ。
そして、こうして話題を集めたこともプロ化へのステップの一つになる。すでに成績面の条件は満たしており、この最終戦を無事に開催することで、FC大阪が「アマチュア→プロ」へその大きなブレイクスルーを果たすに違いない。
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