ベレーザ逆転Vへの切り札、木﨑あおいが決意「もう本当に発見の毎日です」。広島から獲得した左サイドバック、WEリーグ再開初戦で古巣ちふれと対戦へ
サンフレッチェ広島レジーナから日テレ・東京ヴェルディベレーザに加入した木﨑あおい。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
ちふれ+広島で長所を伸ばし、「守備範囲も広がりました」。
WEリーグが今週末3月4日から再開される。このウィンターブレイク中、DF木﨑あおいがサンフレッチェ広島レジーナから日テレ・東京ヴェルディベレーザに移籍した。広島の左サイドバックを担っていたキーマンが、初のリーグ優勝を狙うベレーザで戦うことを決意したのだ。
木﨑は三菱重工浦和レッズレディースの育成組織出身。その後、ちふれASエルフェン埼玉でプレーしてきた。なでしこリーグ時代からベレーザと対峙し、客観的にその強さと弱点があるかを分析してきた。
WEリーグ初年度から、新規参入の広島で存在感を発揮してきた木﨑を獲得したあたり、ベレーザのリーグ戦を狙う本気度が伺える。
木﨑獲得の最大の理由は、1月の皇后杯優勝時にベレーザの中盤を支えていた三浦成美の海外挑戦(アメリカ)が挙げられる。しかし竹本一彦監督は「そこに誰かをハメればいいということではない」と話し、木﨑にはどのポジションに入っても、そのユーティリティ性を生かした強気のプレーを期待する。
木崎がチームに合流して約3週間、率直な手応えと課題を口にする。
「対戦してきたベレーザは本当に強くて、常にボールを回されてきました。その練習に実際に入ってみて、意外と自分もできるところがあるんだなっていうのと、まだまだだなっていうのと、もう本当に発見の毎日です」
複雑な練習メニューの理解に頭をフル回転していると笑いながら言い、とても充実している様子だった。
ちふれ在籍時、木﨑は東京ヴェルディの流れを組む菅澤大我監督のもとでポゼッションサッカーのいろはを叩き込まれた。そこに広島での2年間の経験を加え、再びパス主体のサッカーに身を置くことで、改めて成長を感じ取れていると言う。
「広島ではタテに速かったりサイド攻撃を仕掛けたり、そこで私がサイドハーフやボランチを生かすことで、視野が広がりました。ちふれの時にはできなかったロングボールの質が高まり、守備範囲も広がりました」
常勝軍団のベレーザだが、WEリーグ初代女王の座はINAC神戸レオネッサ、WEリーグカップはPKは浦和に獲得された。そしてようやく先日の皇后杯で、WEリーグ発足後初タイトルを掴んだ。
リーグ戦は現在首位のINACから6ポイント差。竹本監督は、密度の濃いコミュニケーションから生まれる勝利への強い意識と、木﨑をはじめとする新加入選手たちの成長を逆転優勝へのポイントに挙げる。
ベレーザのサッカーを貫きながらも、新たな選手がプラスの要素を加える。木﨑に寄せられる期待は大きい。
奇しくも再開初戦は彼女の古巣であるちふれ戦。まずスタメン争いを勝ち抜かなければいけないが、チャンスは十分ある。緑のユニホームをまとった木﨑が新たな一歩を踏み出す。