長野の「10番」瀧澤千聖、浦和戦で起死回生ゴール。進化を遂げる地元出身、21歳のニューヒロイン
長野Lの瀧澤千聖(10番)。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
ホームでの勝利はきっと近づいている――。
[WEリーグ 18節] 長野 2-3 浦和L/2022年4月23日13:03/長野Uスタジアム
AC長野パルセイロ・レディースが、昨季なでしこリーグチャンピオンの三菱重工浦和レッズレディースと渡り合い、ホームでのアップセットまであと一歩迫った。その中心にいたのが瀧澤千聖だった。
開始4分に安藤梢のミドルで先制された長野だが、下を向くことなく何としてもホームで勝利を掴もうと気迫を漲らせる。浦和対策として4バックを採用。従来の3バックで培ってきた守備時のハードワークを生かし、徐々に浦和攻撃陣の自由を奪う。すると長野は22分に瀧澤、そして35分にオウンゴールと二度追い付き、PKのピンチもGK伊藤有里彩が立ちはだかってしのいだ。
さらにホームの後押しを受けた選手たちは、逆転を匂わせるシーンを作り出す。しかしアディショナルタイム、高橋はなに決勝弾をねじ込まれ、2-3で敗れた。
それでも試合後、スタンドからは惜しみない大きな拍手が送られていた。選手たちから90分間発せられていた熱量は伝わっていた。
そのUスタの盛り上がりの真ん中にいたのが瀧澤だ。長野が一時1-1に追い付いた同点ゴールは、見事なファーストタッチで二人を抜き去り、思い切り左足を振り抜いて突き刺したものだった。
「メグ(伊藤めぐみ)がしっかりと奥の足にボールをつけてくれたのがすごく良かったです。(次に)なんでもできる位置にボールを置くことができました」
細部までのこだわりが結実したコンビネーションプレーだった。
長野の「10番」瀧澤はビルドアップの際も、グラウンダーの縦パスから再三にわたりチャンスメイクしていった。
「自分が中間でボールを受けたら、相手センターバックは迷うと思ってたのでそこから得点につながるようなパスを考えていました。いつも以上に丁寧に精度の高いパスが出せました」
瀧澤自身も納得の表情だった。
パルセイロ・レディース期待の21歳は地元・長野県出身だ。開幕前は「ひたすら走ってチームを助けるプレーをしたい」と語っていたが、「10番」の責任を背負い、その存在は信頼を集め、着実に進化を遂げている。後期日程2分4敗、あとは勝利を掴むだけ。瀧澤の数々のプレーからは、その歓喜の瞬間はきっと近いはずだと感じられた。
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[取材・文:早草紀子]