【浦和L】WEリーグ杯劇的優勝の舞台裏。反撃への一撃、清家貴子「サポーターの諦めない雰囲気がひしひしと伝わってきた」
WEリーグカップで優勝した浦和レッズレディース。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
安藤梢が語った収穫と課題とは――。
[WEリーグ杯 決勝] 浦和L 3(4PK2)3 ベレーザ/2022年10月1日16:00/味の素フィールド西が丘
三菱重工浦和レッズレディースが新たな魅力を見せつけて優勝を掴み取った。WEリーグカップ決勝の日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦、浦和Lが3点ビハインドを跳ね返し、ラスト15分間で一気に3ゴールを奪い、PK戦の末に初代チャンピオンとなった。
失点は重ねたものの浦和は流れを明け渡してはいなかった。ミスをしても、それを感じさせない攻撃の良いリズムを継続。決して「3点差」が示すようなワンサイドゲームではなかった。
反撃の口火を切るゴールを決めた清家貴子は、「正直(3点差は)キツイかなと思いました。でも、サポーターの雰囲気が簡単には諦めさせてくれない(笑)。それを自分はひしひしと感じてました」とまさに背中を押され、サイドから切れ込んで勢いをもたらすゴールを決めた。
さらに間髪入れず1分後、セットプレーからの混戦で安藤梢が押し込んだ。
レジェンドの一撃で、流れは完全に浦和に。PKをエース菅澤優衣香が落ち着いて沈めて、ついに3-3。PK戦につなげて、タイトルを引き寄せた。
昨季は前半に試合を決めてきた浦和だが、今大会はグループリーグ5試合中4試合後半にゴールを決めていて、この決勝の大舞台でも底力を発揮。新たなカラーを示した。
この後半の強さについて安藤は「後半はやはり相手も疲れてきてスペースが生まれる。前の選手のスピードを生かすことがみんなの中で統一されて臨めている。それが(カップ戦の)収穫」と語った。
スピードを生かそうと後半、2トップに変更したのも奏功した。安藤は「あれ(2トップ)を前半からやってても勝てたとは思えないですし、前半は守備のところで自分たちが思うようにボールを奪えなかったのと、ボールを動かしながら裏に行くことができていなかったので、リーグ戦に向けて改善していきたいです」と課題もあげていた。
ビルドアップから崩す理想を追求しつつ、流れに乗れなければ、力技、あるいはスピードを活用したモードに切り替える。そのスイッチの入れ替えを、チームとして共有できた。ここからさらに噛み合えば……2022-23シーズンの浦和Lの強さは計り知れないものになる。そんな予感を抱かせる優勝劇だった。
[取材・文:早草紀子]
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