【なでしこJ】米国に2-4。高倉監督「有吉、阪口萌乃は収穫」「クロスの対応に課題」
なでしこジャパン。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
攻撃を活性化させた交代出場の選手もプラス材料に。
なでしこジャパン(日本女子代表)は7月27日(現地26日)に「トーナメントオブネーションズ2018」でアメリカ女子代表と対戦し、2-4で敗れた。FIFAランキングはアメリカが1位、日本が11位。日本はこのあと、日本時間30日にブラジル(同8位)、3日にオーストラリア(同6位)と対戦する。
試合後、なでしこジャパンの高倉麻子監督が次のように語った。
――試合を振り返って。
失点が多い。ずっと言ってきたクロスからの形でやられてしまっている。点の取られ方も非常にあっさりしていました。こういう失点の仕方を繰り返している。それでは全く勝負になりませんでした。
――ポジティブに捉える部分はあったか?
新しく抜擢した選手を含めて、何人かは非常にいいパフォーマンスを見せてくれました。交代して入った選手たちにボールが収まり試合を作れるようになったことは、非常にいい材料だと思います。攻撃面ではフィニッシュのところで、ボールをつなげても中へ入っていけない状況が続きましたが、交代して入った選手たちがパワーを持ちシュートまで運んで行けたところには可能性を感じました。
――このアメリカ戦は「なでしこジャパンの現在の立ち位置が分かる試合になる」とおっしゃっていたが?
アメリカが(日本に対し)リスペクトを持って対応してきて、スピードやパワーで切り込んでくる、強引に仕掛けてくることが少なかった。結局、私たちが点を取ったり、リードしたりすれば、パワープレーを選択してきたでしょう。そうなったときに今の自分たちの力では抑えきれないなと、非常によく分かりました。
自分たちのポジティブなところで言えば、ボールをつないで、相手のマークやパワーを外していくというところは、以前より良くなってきていると思います。
あとは選手一人ひとりのコンディションやそのあたりの出来など紙一重のところで自分たちは戦っていかなければいけません。選手にそういう自覚と緊張度と集中度を極限まで高めておかないと、世界のトップとやるとき、80パーセントではいいゲームはできないと改めて実感しました。選手にとってはハイインテンシティを求めることになると思いますが、1試合1試合、100%、120%でゲームに臨んでいくことを求めたいと思います。それをやり込むことで世界のトップが見えてくるのだと思います。厳しい世界の現実です。
アメリカがナンバー1のチームですし、こういう環境でゲームをできたことをプラスに捉え、また次のゲームに向けてしっかり立ち直したいと思います。
――以前から高倉監督は考えていたようだが、有吉佐織選手をボランチ、阪口萌乃選手を左サイドバックと、二人の主戦場のポジションを入れ替えて起用した狙いは?
私の中では以前から試したかったところで、思い切って試してみました。有吉はコンディションがまだ100%ではないと思いますが、技術の高さや周りが見えているところで、チームのつなぎのところに加わってくれたと思います。ボランチでひとつボールを奪うことに関しては、有吉のみならず、ドリブルで運ばれると弱い、と。4点目のラピノーに運ばれたところは、有吉に限った話ではなく、自分たちがどこの対戦国とやっても割とやられてしまう形。ドリブル突破への対応はやっていかなければいけない。
阪口萌乃に関しては、テクニックが高くて体が強く、素直にいろんなものを吸収しようとしていて可能性を感じます。サイドバックでも、前のポジションでも使える。ユーティリティとして起用できる目処が立ったのは、とても明るい材料に挙げられます。
――有吉選手のボランチは緊急ではなくて、そこを主戦場に考えている?
総合的に有吉の良さを出していくことを考えると(選択肢に入ってくる)。今、スピードのあるサイドアタッカーが多く、もちろん有吉のコンディションが戻ってくれば、その対応はある程度やれると思いますが、また違う人材をそこにハメてみようと。日本らしくボールを回すうえでも、有吉の良さをボランチで生かせないかなという計算があり、以前からやってみたかったです。ケガもだいぶ戻ってきましたし、本人がどう思ったのかこのあと話してみますが、チャレンジを続けてほしいなと思います。
――異なる対戦相手ではあるが、残り2試合に向けた修正点は?
相手のクロスが一番のパワープレーで、そこが本当にずっと課題でもあった。そこの意識をもう一度確認して、メンバーも少し代えていきながら、誰がそういったものに対応できるのか、また見つけていかないといけない。攻撃に関しては、周りとの連係もありますが、まず自分がボールを止めて蹴る。すごくシンプルなところで、ボールが前で収まらない限り、攻撃になっていかないので、そこももう一度整理して、やっていけたらなと思います。
構成:サカノワ編集グループ