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なでしこデビュー、INAC成宮唯が示した可能性と炙り出したテーマ。サッカー日本女子代表、新体制スタート

成宮唯 写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

明日はオランダ代表と対戦。

[国際親善試合] 日本 0-2 アイスランド/2021年11月24日(日本時間25日3:40)/三菱フォークリフトスタディオン

 試合開始から徐々に寒さが強まった池田太監督の初陣のアイスランド戦、サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)は0-2で敗れた。

 終始ポゼッションで上回ったのは日本だったが、前がかりになったところをひっくり返されての2失点。これを帳消しにするゴールは生まれなかった。最後までアイスランドの守備を崩せなかった。

 この日右サイドハーフとして果敢に挑んでいたのが、この日代表デビューとなった成宮唯(INAC神戸レオネッサ)だった。

 WEリーグ首位を走るINACにおいて、前線でも、サイドでも、トップ下でも、キーマンとなる成宮の活躍なくしてチームの好調は語れない。

 国際試合の出場は、U-23日本女子代表として出場した2017年のラマンガ国際大会以来となる。

 かつてはU-17代表のキャプテンとしてチームを牽引していた。しなやかなドリブルもあれば、味方を活かすスルーパスで相手の意表を突く。アンダーカテゴリーでは群を抜く実力者の一人だった。

 そんな成宮も26歳になった。なでしこチャレンジプロジェクトや代表候補合宿など、“なでしこジャパン”を感じる機会を経て、ようやく女子フル代表デビューを果たした。ある意味、遅咲きと言ってもいい。

 序盤は動きが固かったが、何度かプレスを受けるうちに成宮の負けん気に火が付いた。

 右サイドバックの清水梨紗(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)のオーバーラップに呼応して中央にポジションを取ったり、状況に応じてタメを作ったりと複数の役割をこなす。繰り出されるパススピードも徐々に上がっていった。

 しかしそれがフィニッシュにつながらない。長身のDF陣が一気にプレスをかけて詰めてくるなか、動き出しやパス配給のタイミングを微妙に変化させながらトライしていったが、得点を呼び込めなかった。

「WEリーグならミスがミスにならないようなプレーもできます。(海外のチームが相手では)そこがハッキリとミスとして出て、それが失点にまでつながってしまいます」

 そのように冷静に振り返った成宮は、「バイタルエリアに入る最後の精度とその創造性」を課題に挙げ、「(それをしないと)ゴール前までの崩しはよかったねという試合になってしまう」と語った。

 ピッチに立った57分間で、成宮は自分自身とチームの問題点、なぜそれが課題として残ったのか、今後どうすべきかを冷静に感じ取っていたはずだ。

 課題は沢山だが、いずれも明確である。スタートとしては正しく弱点が炙り出された。

 そのなかで希望を感じさせた1シーンがあった。

 長谷川唯が中央に持ち込み、スピードのあるタテパスを放つ。これに成宮が反応したが、動き出しが遅れてボールは流れた。だが、この瞬間、実に楽しそうに成宮は一瞬笑顔を浮かべた。

 このパスを次に生かせれば、展開が変わっていく。彼女にはその道筋が見えたのではないだろうか。

 なでしこジャパンは11月29日(日本時間30日3:40)からオランダ女子代表と対戦する。

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[取材・文・写真:早草紀子]

Posted by 早草紀子

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