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【浦和】荻原拓也は表彰台で歓喜する福岡を見て何を思ったのか。ルヴァンカップ 主力として初めて挑んだ決勝

ACL浦項戦での浦和の荻原拓也。(C)2023 Asian Football Confederation (AFC)

「悔しさを噛み締めようと思います」

[ルヴァンカップ決勝] 福岡 2–1 浦和/2023年11月4日13:05/国立競技場

「2023 JリーグYBCルヴァンカップ」決勝、浦和レッズは明本考浩が起死回生のゴールを決めたもののアビスパ福岡に1-2で敗れ、7年ぶり三度目の優勝を逃した。

 試合終了の笛が国立競技場に響くと、浦和の荻原拓也はピッチに倒れ、しばらくの間、天を仰いだ。数分が経ったあと、チームメイトに抱き起されたものの表情は虚ろだった。

 アルビレックス新潟、京都サンガF.C.への期限付き移籍を経て復帰した荻原にとって、今回が浦和の主力として挑んだ初めての決勝だった。

 レンタルバックして活躍した選手は、浦和ではほとんどいない。そういった話を耳にするたび、むしろ、持前の向こうっ気の強さで発奮材料にしてきた。加えて京都時代からさらに、全体を俯瞰し、自分自身を客観視する力も養い、明本考浩の負傷もあったなか、攻撃的な左サイドバックとして、マチェイ・スコルジャ監督から評価されてきた。酒井宏樹不在時には、右サイドバックでも起用されている。

 中心選手として、カップを掴み取る。

 そう勇を鼓して挑んだルヴァンカップ決勝だが、開始5分、マッチアップした福岡MF紺野和也の左足のキックを警戒したなか、右足のシュート性クロスに足元を抜かれ、これが前貴之の先制点に。痛恨の失点となった。

 両サイドから揺さぶるスピードのあるキックを交えた仕掛け――。明らかに福岡に狙われていた。

 それでも明本がMFに投入されたあと、西川周作のPKストップで流れは変わり、チームは挽回した。荻原と二人が並ぶサイドアタックは強力で、その明本の一撃で1点差に詰め寄る。荻原の猛プッシュも利いていたが、あと1点届かなかった。

「今日は悔しさを嚙み締めようと思います」

 試合後の荻原は責任を痛感し、憔悴しきっていた。

「(優勝した福岡が歓喜する)表彰台を見ながら、自分に何が足りなかったのかを考えながら見ていました。(今まで経験したことのない悔しさ?)はい、そうですね……」

 23歳のレフティはそう言葉にするのが精一杯だった。

 ここから立ち上がるしかない。荻原は一敗地に塗れた国立競技場でのファイナルの舞台を経て、悔しさを通り越した無力感とともに、何とかして自らと向き合おうとしていた。

 シーズン終盤、浦和は重要な試合が続く。8日にはAFCチャンピオンズリーグの浦項スティーラースとのアウェー戦、そして12日にヴィッセル神戸とのJ1リーグのホームゲームが組まれている。

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 タイトルを逃した大きな穴を、荻原はどのように埋めようとしていくのか。ただ、必死にもがきながらも全力で挑み続ける姿を見せる限り、浦和のサポーターはその26番の背中を誰よりも熱く押してくれるはずだ。

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