清水GK六反勇治が夢の日産スタジアムで”格別の勝利”を掴むまで
清水の一員として古巣の日産スタジアムで初勝利を収めた六反勇治。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
横浜F・マリノス時代は勝てず…「敵」として2勝目。
[J1 18節] 横浜FM 1-2 清水/2018年8月29日/日産スタジアム
清水エスパルスのGK六反勇治が古巣の横浜F・マリノス戦にフル出場し、1失点で凌ぎ切り勝利を収めた。
「移籍したあと初めてマリノスのサポーターからブーイングをされました。敵として認められたことは、選手として、ある意味一つ進歩かなと思います」
勝点3を掴んだ六反は、そのように感慨深げに語った。
「僕にとって、マリノスにいた瞬間はかけがえのないもので、日産スタジアムのピッチは夢のピッチでもありました」
六反は2012年から14年までの3シーズン、横浜FMに在籍していた。その間、実は日産スタジアムで勝ったことがなかった。リーグ戦は13年の12節・ベガルタ仙台戦で、榎本哲也の負傷により試合途中に投入されて初めて日産スタジアムのピッチに立ったが、スコアレスドローに終わった。
他に2014年の天皇杯ギラヴァンツ北九州戦は敗れている。さらに12年、13年に勝利を収めた天皇杯の試合はいずれも三ツ沢開催だった。そして15年にベガルタ仙台に移籍。2016年の開幕戦で、ついに日産スタジアムで勝利を収めてみせた。
そして2017年に清水へ加わった。今回、日産スタジアムで自身2勝目、もちろん清水の一員としては初めての勝利となった。
「そういったことを考えると、敵同士ですけれど、Jリーグの仲間として、今度はエスパルスもマリノスも、優勝争いして対戦できるように、次の試合は迎えたいです」
清水が勝点31に伸ばして、J1残留へ大きく近づいた。ただ、来季はもっと上の順位で、清水と横浜FMが対戦したい。ずっと特別な場所だった日産スタジアムのピッチで。
六反は今回の”格別の勝利”を収めて、プロ13年目のシーズン、いろんな意味でまた一つ選手として突き抜けた。次は横浜F・マリノスもきっとこのままではないはずだ、と言わんばかりに――。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI