日産×ホンダ経営統合破談へ。矢沢永吉さんのCM「やっちゃえ、ニッサン」に感じた違和感、脳科学者の茂木健一郎が指摘
日産スタジアム (C)SAKANOWA
自動運転の未来や可能性を伝えるのであれば――。
日産自動車とHonda(ホンダ)による経営統合に向けた協議は2月6日、両社の社長ら幹部が話し合いを行ったことで、一部報道によると、統合に向けた基本方針を撤回することで合意したと見られる。
当初は持ち株会社を設立し、そこに三菱自動車も加わり、グループ企業とする案が浮上していた。しかし経営危機に陥る日産だが、リストラ案などへの対応が遅く、Hondaのスピード感に付いてこれなかったと言われる。するとHondaは日産に対して子会社化する案を提示。日産はプライドも損なわれたとして、話し合いは破談してしまったという。
こうした状況を受けて、脳科学者の茂木健一郎氏が2月6日にユーチューブ『茂木健一郎の脳の教養チャンネル』で「やっちゃえ、日産。」と題した動画を公開した。この一連の騒動を振り返るととともに、過去に日産が矢沢永吉さんを起用したCMへの“違和感”を口にした。
そのテレビコマーシャルは、矢沢さんが日産の車のドライバーシートに座り、ハンドルを離しても自動運転に対応し、「やっちゃえ、日産」と決め台詞を言う内容だった。
ただ茂木さんは、Googleが自動運転の未来を描くCMを流した際、自動運転の車から降りてきた方が笑顔を浮かべ、そのあと白杖を突いていることで視力に問題を抱える方だと分かる内容だったのを振り返る。
茂木さんは日産の技術力やこれまでの名車を称賛。一方、「車、モビリティの未来って、ユーザーに寄り添うことだと思うんだよね。マーケットに耳を傾けていく、日産にはそういう姿勢がもっとあるといいのかなと」と指摘した。
確かに矢沢さんが登場すれば目を引いて「かっこういい」という印象を与えられる。ただし、自動運転の未来や可能性を伝えて、日産のファンや購入者を増やしたいのであれば、Googleのほうが趣旨が合っていて、そのCMの構成と内容は「時代が求めているものと、ちょっと違うのかなと思います」と首をひねった。
一人暮らしの高齢者が買い物や病院に行けるようになる、人手不足で悩む運動業界でも新たな力となり得る……いま想像できないような未来が実現可能なはずである。
そう考えると、自動運転のプレゼンテーションの方向性自体がそもそも違っているところに茂木さんは「結局、車づくり、商品づくりにもつながっているのかな」と、危機にある日産の問題の根幹部分に目を向けていた。
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今回のようにHondaをはじめ「日産がいろんなところに耳を傾けることは必要だと感じます」と、その変化に期待する、ただし、そういったCMからは「ちょっとズレていると感じました」と茂木さんは日産の体質について感想を語るとともに、「本当の意味で『やっちゃえ、ニッサン』、市場の声を『聴いちゃえ、日産』、耳を傾けてまた頑張ってほしいと思います」とエールを送っていた。