【鹿島】鈴木優磨&レオ・セアラ強力2トップが放つ光、そこで生じる影。「4-4-2」のプラスとマイナス
鈴木優磨とレオ・セアラ(左)。写真:松村唯愛/(C)Yua MATSUMURA
選手を交代するごとにチームの強度が下がる。その要因とは?
鹿島アントラーズは4月12日のセレッソ大阪戦を0-1で落とし、リーグ3連敗を喫した。ルヴァンカップのレノファ山口戦での延長ドロー(試合結果は引き分け)からのPK戦敗退を含めると、実質4連敗を喫した。
今季の鹿島は鬼木達新監督のもと、鈴木優磨&レオ・セアラの強力2トップが開幕から爆発力を前面に押し出し、一時は首位に立った。しかし、次第に対戦相手にも対策を練られ、時に後手を踏む展開も出てきた。
最近気になるのが、選手交代をしたあと、全体の強度が落ちてしまっている点だ。
選手のクオリティも関係しているのか? そんなことも考えたが、誰が出てもなかなか、しっくり機能しない印象である。
もしかすると、これは「4-4-2」の光と影――プラスとマイナスではないか。
京都サンガF.C.戦では、ホーム不敗神話が「27試合」で途絶える3-4の厳しい一敗を喫した。試合後、京都の選手からは「まず鹿島の2トップの最初のラインを超えること」と、そこからできるスペースを活用できれば、優位に試合を進められる――と意思統一されていたという話が聞かれた。
もちろん、鹿島としては逆に、2トップへ先にボールを預けられれば、たちまち優位に持ち込める。加えて、レオ・セアラ、鈴木の得点感覚やフィニッシュワークを生かし、ゴール前で混戦になれば何かを起こせる期待も高まる。
そのあたりの駆け引きで、シーズン序盤は上回ってきた。
だが、“鈴木&レオ”対策を立てられつつある。加えて2トップをはじめ、アタッカー陣に疲れが見えたあと選手交代をしていくと……。
「4-4-2」のまま、チームとして強度を保つことがなかなか難しい。その現実に直面している印象だ。
セレッソ大阪戦など、「4-2-3-1」にして反撃を試みるケースも見られた。鈴木をサイドに配置する策が奏功したこともあった。
ただ、スクランブル(とにかく相手を混乱させたい)ではない場合、布陣変更後、どのように攻めて、どのように守るのか。全員の意思統一ができずにいる感じだ。
鬼木監督は京都戦のあと、選手交代を経ての課題について、次のように語っていた。
「攻守でバランスが崩れ始め、セカンドボールも拾えなくなり、プレッシャーも少しかからなくなり、やや後手を踏んでいたので、エネルギーのある選手を投入しました。ただ、そこで攻撃と守備のバランスと言いますか、ちょっと分かりづらい形になってしまったかなと思います。それを含めて自分のところで強度の部分で勝負したかったものの、エネルギーをかけられませんでした」
指揮官は「いろんな部分が中途半端になってしまいました。そこは自分の問題(責任)」と、中途半端になったと言っていた。
もちろん「4-2-3-1」も守備時は「4-4-2」になるなど補完性はある。ただトップ下(「4-3-3」であればインサイドハーフ)の役割は異なり、そういった曖昧さを相手に突かれている、鹿島としては整理できずにいる。
開幕から「やはり鹿島の4-4-2は伝統であり強いな」と思わせてくれた。しかし選手交代をしていくと、微妙にバランスが噛み合わなくなる……。現代サッカーにおいて、プロになったあとも「4-4-2」を主戦場にプレーしてきた選手は限られることを感じさせる。ラファエル・エリアス&原大智というストライカーを擁しながら、なぜ「4-2-3-1」や「4-3-3」を採用してきたのか? という京都・曺貴裁監督の意図もそういったあたりにありそうだとも分からせてくれた。
鬼木監督は現代的に、「4-2-3-1」や「4-3-3」をベースにしようとシフトさせていくのか。それともストライカー陣を最大限に生かそうと「4-4-2」を軸に戦っていくのか。
もちろん、一方で「4-4-2」がもう少し噛み合えば、さらに爆発しそうな気配も漂う。今は連戦による疲れの影響であり、貫くべきだという考えもあるだろう。
関連記事>>【鹿島アントラーズ】2024年度 売上高72億円、クラブ史上2位の収益を記録
いろいろな意味で、鹿島は今、岐路に立たされているのかもしれない。