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【柏】「一瞬ではない競争意識が大切」栗澤遼一が監督交代の”危機脱出”へ決意

柏レイソルの栗澤遼一。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

チーム最年長の35歳、リーグ再開の古巣・FC東京戦で勝ってロケット”リスタート”を狙う。

 ロケットスタート成功、ところがACL敗退、Jリーグ低迷、下平隆宏前監督の解任、そして加藤望新監督の就任。ワールドカップの中断期を迎えるまで、前半戦の柏レイソルは山あり谷ありと、ジェットコースターのように好不調の波が激しかった。

 そのなかでチーム最年長35歳の栗澤遼一は開幕から出場機会を掴めず、もどかしい日々を過ごした。

 ただ、それでも練習から一瞬たりとも手を抜かずに取り組み、時に先頭を切り、時に後方から控えめに……まさに縁の下でチームを支える栗澤の姿を誰よりも見守っていたのが、今季まずコーチとして柏に復帰し、選手たちを見守ってきた加藤監督だった。

 加藤新指揮官の就任から中断前までのリーグ2試合、栗澤はいずれも3枚目のカードとして途中出場している。危機的状況下、必要としたのは柏で11シーズン目を迎える栗澤の力だった。

 新体制がスタートしたあと、栗澤はこう言っていた。

「(監督交代は)以前にも何度か経験をしていて、(ミルトン)メンデスのとき以来(2016年)になります。チームが厳しい状況にあるのはもちろんですが、マイナス面ばかりではなく、こういう時は、もう一度競争意識が高まり、練習の雰囲気も上がります。それが(監督交代した)最初だけでなく常にずっと、シーズンが終わるまで、そういう気持ちでやらないと。そこは選手全員で、こだわらなければいけないところです」

 プロ14年目、栗澤自身は変わらぬスタンスを持ちつつ、同時に担うべき役割もわきまえている。

「練習からできないことは、試合でもできない。だから、練習で全てを出し切る。それができない甘いヤツがいたら、周りが言える環境にしていきたい。それこそが、本来のいい雰囲気だと思う。そういう空気が、ちょっと前は足りなかったと思う」

 もう一度、戦闘集団にしていく。そんな想いが感じられる。

「勝つため、勝ち切るためには、そういった練習からの細かいことを自分も意識しながらやるし、周りも意識できるようにしていきたい。声出して、やっていきますよ」

 周りの良さを引き出すことで、自身のプレーにも好循環がもたらされる。そんなプレースタイルは、加藤監督の現役時代とも共通する点に挙げられる。共感し合える部分も多いのか、栗澤は”ノゾさんのために”という想いも強い。

「ノゾさんはこういう形で監督になるとは思っていなかったはずで、ノゾさんを勝たせるために、と強い気持ちも持っています。(監督交代という)危機であり、チーム全員がやってやる。その気持ちを見せてやっていくことが大事ですね」

 柏はリーグ15節を終えて6勝2分7敗の9位。19得点19失点。ワールドカップ・ロシア大会の中断明け、さっそく連戦が続くだけに、ロケット”リ・スタート”を狙いたい。7月18日のJ1再開戦、2位FC東京をホームで迎え撃つ。08年途中まで在籍した栗澤の古巣。弾みをつけるには、申し分のない最高の対戦相手だ。

※明日7月6日(金)Jリーガーが友達をつなぐ連載企画『Jの輪』で大谷秀和選手が登場します!

取材・文:塚越 始
text by Hajime TSUKAKOSHI