三木谷会長、Jリーグ 外国人選手の税制問題に言及「国単位で考えたほうがいい」。このままではスーパースターが来ない
天皇杯を掲げる三木谷会長。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
ユーチューブの「PIVOT」で、様々なJリーグに関する“賛否両論”のテーマに踏み込む。
J1リーグ ヴィッセル神戸のオーナー(チェアマン)である楽天グループの三木谷浩史会長がこのほど、ユーチューブの『PIVOT公式チャンネル』に出演し、「【三木谷浩史が語る、オーナーの葛藤、Jリーグ改革】オーナーはどれだけ口出しすべきか?/サウジの金満クラブとの競い方/海外選手の税金が高すぎる/年金制度を作れ」と題した動画に出演した。
三木谷会長は神戸のオーナーとして、様々な課題について自身の考えを語り、Jリーグを盛り上げていくために必要だと考える施策や方策について出演者と議論している。
「批判覚悟」ということで、ファン・サポーター、経営者、スタッフ、選手……それぞれ賛否の声が聞こえてくるテーマに踏み込んでいる。
例えば、Jリーグが今後議論しないと結論づけたはずの「企業名(ネーミングライツ)」についても、基本的には賛同する趣旨の発言(議論してもいいという意見)をしている。これはJリーグの理念であり根幹を覆す話であり、地域とともにというJリーグのコンセプトがなければ生まれていないクラブも数々あり、この点は発言力のある三木谷会長の主張となると気になるところだ(もちろん地域あってのクラブチームという点に、まず賛同したうえでの発言であると思うが)。
一方、今すぐにでもJリーグが一つになって取り組むべきテーマについても言及している。その一つが「外国籍選手の税制問題」だ。
近年では、過去に在籍した複数の外国籍選手が国税庁から追徴課税を指摘されたことが話題になった。「非居住」(滞在期間が11か月以下)であれば所得税のうち20パーセントの納税で済むところ、「居住」になると最大同45パーセントの確定申告、さらに住民税(約10パーセント)などの納税が必要とされる。
プロ野球の外国籍選手の実例をもとに、Jリーグの助っ人選手も契約を結んできたと言われる。ただ、日本に長く住みたい、あるいは、家族と住みたい、という場合、一気に税率が上がる。そのため、サッカーのみならず、スーパースターを日本へ呼ぶだけでなく、引き留めるためには、重要なテーマになっている。
三木谷会長は「スペインはベッカム税制をしたわけです(レアル・マドリードが獲得)。何かというと、海外から入ってきた選手の最高税率は20パーセントにしたんです。また、イタリアは肖像権に対する税金をなくしたんです。要するに、世界のスーパースターを引っ張ってくるためにです」と説明した。
それにより、スペイン1部レアル・マドリードにいたクリスチアーノ・ロナウドのイタリア・セリエAのユベントスFCへの移籍も実現したという。
「(外国籍のスーパースターを呼び込むために)国単位で取り組みを行っています。日本は実は逆になっている。海外から来る選手の税率を上げてしまったんです。だから、なかなか選手を獲りづらくなっている。経済効果もあり、本当に盛り上げたいのだったら、そういうこと(国としての取り組み)について考えたほうがいいと思います」
三木谷会長はそのように「国単位」で取り組むべきテーマだと主張した。
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もちろん、なぜ日本人は高所得者ほど所得税を払う義務があるのに、外国人選手は優遇されるのか……という議論も必須だろう。とはいえ、三木谷会長が言うように「盛り上げていく」ためには何かしら、“国を挙げて”の取り組みも期待したいところだ。