オリバー・カーンがドイツ・ブンデスリーガを憂う「優勝予想は簡単で退屈」。ヴィルツのバイエルン拒否、リバプール行きを理解
バイエルンの「1強」時代、再び到来か。 (C)Midori Ikenouchi
国際的にもリーグとしての注目度は「低い」と現実を受け止める。
FCバイエルン・ミュンヘンの元CEOでこのほど『スカイ』の解説に就くことが決まった元ドイツ代表GKオリバー・カーン(Oliver KAHN)がこのほど、『キッカー』のインタビューに応じて、ドイツ・ブンデスリーガの現状を憂いた。
過去13年のうち12回をバイエルン・ミュンヘンが制している。この国内の状況を「明らかに健全ではない」と嘆く。
「予算規模が3000万ユーロ(約51億円)や4000万ユーロ(約68億円)のクラブと、3億ユーロ(512億円)のクラブが競うことが、公平だろうか。バイエルンを長期的に脅かすのは無理があると言わざるを得ない」
さらに今夏、クラブ・ワールドカップ(クラブW杯)がスタート。UEFA欧州チャンピオンズリーグ(CL)とともに、上位により資金が集中する傾向にあり、「こうしたシステムが今後定着していくでしょう。優勝予想は簡単で退屈です」と現状を指摘する。
そうした背景もあり、リーグとしての国際的な競争力が上がらず、プレミアリーグ、ラ・リーガに遠く及ばずにいる。世界では、ブンデスリーガはあまり注目されていないと、その立ち位置を受け止める。それだけにフロリアン・ヴィルツがバイエルンではなく、世界一の競争の中にあるリバプールを選択したのは「理解できる」というのだ。
フランクフルトにいたオマル・マーモウシュはマンチェスター・シティへ、エディ・エンケティアもリバプールに移籍した。ブンデスで活躍したトップ選手はプレミアリーグに流出する流れは止まらない。
「課題は一つではありません。収益配分の見直し、育成の在り方、ヨーロッパレベルでの改革、多岐に渡ります。何よりも国内、国際的、いずれも現状のシステムを変えるには勇気が必要です」
正直なところ、バイエルン以外のドイツのクラブは“選手供給クラブ”の立場にどこか満足しているところがある。RBライプツィヒが風穴を開けてきたが、タレントは続々と輩出しているのだが、力のある選手のクラブへの忠誠心が低く(ライプツィヒで、何かを成し遂げたいという意欲)、クラブやグループとしてここに来て足踏みをしている。
しかも、全スタジアムが屋根設置率100パーセントのブンデスリーガはほぼ全試合が満席になる盛況ぶりである。多くの日本人選手もプレーしている。バイエルンがあまりに突き抜けているというこの状況、次はどのような展開が待っているのだろうか。