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【なでしこ】ブラジル戦、南萌華が問題のシーンに「予測をミスりました…」。一方でニルス効果、次に生きる敗戦とチームは“前向き”に受け止める

キャプテンマークを巻いてブラジル相手に奮闘した日本女子代表の南萌華。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

「今回はマイナス面の多い試合でしたが、修正していければ、チームは必ず良くなる。次の試合で勝ちにつなげる。そのための2日間にします」

[親善試合] ブラジル女子代表 3-1 日本女子代表/2025年5月31日(現地30日)/ネオ・キミカ・アレーナ(ブラジル)

 なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)が現地5月30日、ブラジル女子代表との親善試合に臨み、89分に籾木結花のスルーパスから清家貴子が1点を返したものの、1-3で敗れた。ニルス・ニールセン新監督のもと、6試合目で初の黒星に。

 ブラジルの名門コリンチャンスのホームスタジアムでの一戦、攻守が切り替わりチャンスに転じた瞬間、3万3000人を超える目の肥えたファンの大歓声がスタジアムを覆った。そんな、まさにホームの力を受けて、ブラジルの勢いは時間とともにどんどん増していった。

3万3000人を超える観衆が大歓声を送った。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

 そして11分、問題となったシーンを迎える。

 藤野あおばのフィードから抜け出た田中美南がGKを交わして、ロングシュートを沈め、日本が先制点が決めた、はずだった。主審は一度ゴールを認めたものの、そのあと、VARが介入する。

 そして主審がビデオで反則を判定するOFRに。その起点となった自陣ペナルティエリア内で、南萌華のドゥディーニャへのスライディングタックルがファウルと判定された。

田中美南がブラジルから決めた! かと思われたが…。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

 田中の先制点は取り消され、逆にブラジルにPKを与えるという、ゴールを喜んでいたはずが失点の大ピンチに一変した。

 しかしブラジルのケロリンがこのPKを外して、この大ピンチは何とか失点せずに済んだ。

 南は試合後、このシーンについて、「予測をミスりました……。シュートのほうに(予測を)しすぎて、ブラジルの選手は足もとの技術があるので、もうちょっと寄せて対応しなければいけなかったです」と反省していた。

 シュートに“来る”と読んだタイミングで、相手が切り返した。南はスライディングへ先に行き、相手は足が掛かったとして倒れた――。駆け引きに負けたと受け止めていた。

 ただ、その判定に目が行くところだが、前半の日本はブラジルと守備面で上手く嚙み合わず、セカンドボールが全く拾えなかった。マンツーマン気味にして襲い掛かってくるブラジル相手に、ギャップを作れず道をふさがれた。そこから失点も喫した。

 後半に選手交代を経て立て直していったものの、PKやセットプレーをモノにできず1-3で敗れた。

 ニルス・ニールセン新監督のもと、無敗の続いていたなでしこジャパンだが、これまで強豪相手に屈する時の負けパターンの一つと言える形に陥った。意味のある1敗になったはずだ。

 正式にキャプテンに任命された長谷川唯が今回体調不良で不在に。代わって南がキャプテンマークを巻いた。

キャプテンマークを巻いてブラジル相手に奮闘した日本女子代表の南萌華。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

「(日本に対して)こうした戦い方をしてくる国は増えると思います。今回はマイナス面の多い試合でしたが、ここから修正していければ、チームは必ず良くなります。プレーの選択肢を増やしていけます。しっかりコミュニケーションを取って、次の試合で勝ちにつなげる。そのための2日間にします」

 “ポジティブ”な空気をチームに注入してきたニールセン監督のもと、南をはじめ選手たちは、この敗戦をいかに次へ生かすかに集中している。その姿勢がなでしこジャパンの成長をより促すはずだ。

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清家貴子が意地のゴール! 写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

取材・写真/早草紀子
text and photos by Noriko HAYAKUSA

南萌華 写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

Posted by 早草紀子