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【浦和】なぜ起きた?西川周作が鹿島戦のあの場面を振り返る「ミートできなかった技術ミス」。飛躍中の日本代表GK早川友基との対決にも触れる

浦和の西川周作(写真は天皇杯のFC東京戦)。写真:手塚大介/(C)Daisuke TEZUKA

「DFが後ろを向いた瞬間、見切り発車のような感じで僕のところへ走って来て。ギリギリのバックパスになり、そこを結構狙われているとは感じていました」

[J1 30節] 浦和 0–1 鹿島 / 2025年9月20日19:03 / 埼玉スタジアム

 超満員5万3301人で埋まった埼スタの一戦、浦和レッズは鹿島アントラーズに0-1で敗れた。

 14分、マリウス・ホイブラーテンからのバックパス。GK西川周作はシンプルに前へ蹴り出す選択肢もあったという。しかし横にいるダニーロ・ボザがフリーであると察し、パスを選択。この一瞬の判断、そして鈴木優磨のプレスが視界に入り、キックが弱くなり、そこを鹿島のエースに沈められた。

「あの場面は間違いなく自分のミスで、チームに迷惑をかけました。ミスのあと、しっかり頭を切り替えて、試合中に反省するのではなくそれを生かすぐらいの気持ちで、そのあとのバックパスは処理していきました。

 みんながいい働きをして、後ろから見ていても、本当にいい戦いをしてくれていました。逆にミスのあと、自分がどのようにアプローチすれば良かったのか。もう少し解決法があったのではないかと、今(試合直後)はいろいろ考えています」

 もう少し具体的に、失点の場面は「『つなげられる』という感覚もあったんですけれど、しっかりミートできなかった自分の技術ミスだと思っています」と振り返っている。

 一方、鹿島がバックパスに対し、組織的にハメてきているとも感じていた。

「ディフェンダー(ホイブラーテンら)が後ろを向いた瞬間、見切り発車のような感じで(鈴木優磨らが)僕のところへ走って来ていました。ディフェンダーがその選手を見えていないというところで、ギリギリのバックパスになっていて、そこを狙われているとは感じていました。

 監督もゾーンワン(コートを3分の1ずつで割った自陣の3分の1)ではリスクを負うなと常に言っているので、そこはシンプルに蹴り、繋げたらつなぐようにしています。みんなの共通理解のもと、普段できている部分をできなかったところはしっかり反省し、また(精度を高めて)やりたいです」

 あの失点のあと、浦和は決定機も作り出していった。一方、もう失点できないという守備の意識もより働いた。結果的には、ゴールを奪い切れなかった。

「鹿島戦の意味、そして僕たちも一番上を狙うために落としてはいけない試合という覚悟がありました。やはりあのミスで失点してしまう、チームに迷惑をかけてしまったことは自分自身がしっかり整理しなければいけません。1失点したあと、2失点、3失点しないように、心掛けながらゴールマウスを守っていました」

 一方、ビッグセーブを連発したのが対する鹿島の守護神である、9月シリーズの日本代表にも選ばれた26歳の早川友基だった。昨季から「1番」をつけるアントラーズの守護神が、この日の守備のヒーローとなった。

「ゴールキーパーというポジションがいかに大事かと感じさせられた試合でした。彼が活躍することで自分も、もっともっとと、刺激をもらえました。ゴールキーパーはミスをすれば叩かれるポジションだと思いますし、勇敢でなければやれません。ミスをしたあと、どう立ち上がるかが非常に大事で、僕自身、ミスした自分に対し冷静になって、何ができたか、何をしなければいけないかを、しっかり考えて次につなげたいです」

 一方で西川は「選手である以上、この満員の埼玉スタジアムでプレーできるのは喜びで、2023年のACL決勝のような雰囲気を作ってくれたファン・サポーターには本当に感謝しています」とも語っていた。それだけに、その失点の重さをより一層痛感していた。

 まさに6ポイントマッチだった。厳しい状況が続くものの、勝てば5ポイント差に縮められた。しかし首位の鹿島から11ポイント差の8位に。クラブ・ワールドカップ(クラブW杯)の日程を踏まえて、天皇杯、ルヴァンカップとシードされながら、ことごとく落とし、J1リーグの逆転優勝も絶望的となった。

 それが鹿島とのリーグ戦8試合ぶりの黒星だけに、そのダメージは計り知れない。

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 浦和は明日9月23日、前節で首位に立っていた京都サンガF.C.を下している清水エスパルスとアウェーで対戦する。

Posted by 塚越始