戦列復帰した昌子源が感じた鹿島の敗因とは?
鹿島アントラーズのDF昌子源。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
鹿島にとって、いろんな意味で”大きな男”が帰ってきた。
[ルヴァンカップ 準決勝 第2戦] 横浜FM 2-2 鹿島/2018年10月14日/ニッパツ三ツ沢球技場
※2試合トータル4-3で、横浜FMが決勝進出。
「試合が終わってからの汗が、一人だけ尋常じゃなかったですよ」
鹿島アントラーズのCB昌子源が横浜F・マリノスとの準決勝第2試合、3枚目のカードで投入されて、試合終了までのアディショナルタイムと含め約13分間プレーした。公式戦の出場は7月25日のJ1リーグ14節のセレッソ大阪戦(〇2-0)以来、約3か月ぶり。試合を終えた昌子は悔しさを噛みしめながら冷静かつ熱く、試合を振り返った。
「監督に言われたわけではないですけれど、ウチが点を取らないといけないとき、1対1で守らなければいけない状況も想定していました。どちらでも(リードした場面でも、点がほしい場面でも)行ける準備はしていました」
試合終了間際での投入。数的同数で昌子が最終ラインで守りながら、前線に枚数を割いて厚みを加える。そういった大岩剛監督の意図を理解したうえで、神経を使いながら反撃の糸口を探った。
「ウチがどうしても点を取りにいかなければいけない状況で、後ろの組織が崩れては意味がない。そこにしっかり僕が入って、特に俺とマチ。マチ(町田浩樹)がパワープレーで上がっても、俺がウーゴ(ヴィエイラ)との1対1で負けない気持ちを持たないといけなかった」
そして昌子が感じていたのが、攻撃があまりにサイドからの一辺倒になっていたこと。ベンチから見ていて、最終ラインが加わり中央からの打開などアクセントを加えるべきだと感じていたという。
「縦パスが今日の試合ではあまり見られなかった。サイドからの攻撃が中心になっていて、セルジーニョへのパスコースも空いていた。裏返せば、(センターフォワードに)通していないから、相手も警戒していなかった。それを前半から上手いことチームで入れていけたら、もう少しバリエーションが増えたかなと思いました」
昌子はそのように攻撃の工夫のなさを悔やんでいた。
「セルジーニョがヘディングが1点を決めたけれど、サイドからの攻撃には、あのふたりのセンターバック(ドゥシャンとチアゴ・マルチンス)は強い。そういった(縦パスなど)1本があれば、相手もより警戒してくる。単純なヘディングではウチは勝てない。(鈴木)優磨もいないかった。縦だったり、真ん中のワンツーとかを取り入れていければ。それが最後の最後に響いたかなと思いました」
もっと鹿島が相手を翻弄するときのように、いろいろなところから攻撃のスイッチを入れるべきだった。それができていなかったからこそ負けたのだと感じ取っていた。
左足関節捻挫からようやく復帰を遂げた。昌子は自身のパフォーマンスにも一定の手応えを得ていた。
「自分にとって、チームにとって、良いことと思いたい。途中からですけれど、ここで(準決勝)できたのは良かったと思います。少ない時間の中でも、1対1の場面が二、三度あり、状況に応じて良い判断もできました」
ルヴァンカップの3年ぶり戴冠のチャンスは潰えた。しかし、このあと10月24日には、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の水原三星との準決勝第2試合が控える。さらに決勝、そして天皇杯、リーグも続く。
昌子にとっては、意味ある再出発の途中出場――。内田篤人と中村充孝の離脱が発表されるなか、鹿島にいろんな意味で”大きな男”が帰ってきた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI