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【浦和】安部裕葵が語った復活までのロングストーリー「5年かかると分かっていたら、辞めていたかも」。祝福LINEは「めちゃくちゃ来ている」

浦和の安部裕葵。 写真:松村唯愛/(C)Yua MATSUMURA

「これまで4、5回くらい『今週行くぞ』というタイミングがありましたが…」

[J1 34節] 横浜FM 4–0 浦和 / 2025年10月18日14:03 / 日産スタジアム

 J1リーグ34節、浦和レッズは横浜F・マリノスに0-4で敗れ、インターナショナルマッチウィークを挟んでのリーグ連勝を逃した。

 そんななかで唯一と言えるが大きな朗報となったのが、浦和の安部裕葵(Hiroki ABE)のレッズでの待望のデビューだ。81分に途中出場し、背番号「7」のユニフォームをファン・サポーターの前で披露した。

 浦和では昨年7月のニューカッスル・ユナイテッドとの親善試合でもピッチに立っている。公式戦のピッチに立つのはFCバルセロナ(セグンダ)時代の2021年5月以来に。

 Jリーグでのプレーは鹿島アントラーズ時代の2019年7月6日のジュビロ磐田戦(2-0で勝利)以来6年ぶりとなった。

 左MFに入った安部は、CFイサーク・キーセ・テリンと好連係を築く。それまで沈黙していた元スウェーデン代表FWがゴール前で存在感を示せるようになり、さっそく”安部効果”も見られた。

 安部は試合後、「(緊張や疲れは?)10分ちょいでしたから。試合に出られる状態でなければベンチに入る意味はない。ずっとスタッフとやってきて、チーム内の競争というより、僕の場合は自分が行けるかどうかが一つ基準でした。そこで『もう行ける』という判断が現場のスタッフから出て、今日メンバーに入り、僕はもちろん試合に出るつもりで準備していました」

 0-4という大差がつく試合終盤での投入に。気持ちの昂ぶりはなかったという。”実は……”と、安部は復帰までのいくつもの舞台裏やエピソードを明かしていった。

「 レッズに来て2年と少し、これまで4回か5回くらい『今週行くぞ』というタイミングがありました。ただその週の試合前日、2日前、3日前に太ももの裏に違和感が出て、練習から離脱せざるを得なくなりました。だから今回も、とにかく先週と今週は気を使いながら練習をこなして、今日を迎えられました」

「(4点差が開いていたなか)まず今まで僕の復帰のために尽力してくれた人たちのために姿勢を見せたいと思ったので、それは多少なりともできたと思います」

 ただ、この約10分間の復帰で、安部の中の勝利への渇望がより強まった。

「ここ4年、5年近くはこうしてプレーすることが一つゴールではありました。いざここまで来ると、あくまで通過点だと実感します。勝ちたい想いがあり、タイトルを取りたい、そのためにプレーしたいと、そういうものはサッカー選手なので出てきますね。しっかりケガと向き合いながら、また一歩、新たなステップを踏んでいければと思います」

 堂々と負けん気強く語るスタイルは、以前と変わらなかった。そんな安部は爽やかな笑みを浮かべながら、しかし……こんなに時間が掛かると分かっていたら「辞めていたかもしれなかった」とも吐露した。

「元々ハングリーさはあり、それは常に持っています。実際ケガをした瞬間は、4年、5年と長くかかるなんてと思ってもみませんでした。2か月後、3か月後には復帰が待っている、そう思いながらこれまでリハビリに取り組んできて、そのうちに5年が経っていました。最初から5年かかると分かっていたら、正直、多分辞めていました。落ち込むこともありましたが、数か月先にはと希望があり、支えてくれる人たちがいて、なんとかここまで来ました」

 ちなみに試合のあと、祝福のLINEは「めっちゃ来ています。めちゃくちゃ届いています」と喜んでいた。

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 浦和の今シーズン残りは4試合、ホームの埼玉スタジアムでは2試合。次節は埼スタでのFC町田ゼルビア戦だ。

Posted by 塚越始