VAR運用で今季20件のエラー。鹿島vs広島戦ではPK見逃し、現場判断を尊重しすぎたケースも
2025シーズンのJ1リーグにおけるVARの運用について説明する佐藤隆治JFA審判マネジャー。(C)SAKANOWA
JFA審判委員会が2025シーズンを総括。
日本サッカー協会(JFA)審判委員会は12月17日、都内のJFAオフィスで2025シーズン最後のレフェリーブリーフィングを実施し、Jリーグでの今季の判定に関するデータを報告するとともに総括した。
そのなかで、佐藤隆治JFA審判マネジャー・Jリーグ担当が、J1リーグでのVAR運用について、「見逃し」など今季は計20件のエラーがあったと説明した。
内訳は『オンリーレビューすべきだった』1件、『オン・フィールド・レビュー(OFR)を行うべきだった』15件、『OFRを行うべきではなかった』2件、そして『OFRを実施したものの最終判定が誤っていたケース』2件。
『オンリーレビューすべきだった』1件は、横浜F・マリノス対浦和レッズ戦で、オフサイドが見逃されたまま横浜FMにPKが与えられた場面だ。
また、『オン・フィールド・レビューを行うべきだった』15件のうち、具体例として2試合のシーンが紹介された。
その一つが、6月14日の20節・鹿島アントラーズ対サンフレッチェ広島戦の開始6分の場面だ。右サイドからカットインしたレオ・セアラがペナルティエリア内に進入した際、佐々木翔の後ろ向きのまま振り上げた右足と接触。レオ・セアラが転倒したものの、主審はノーファウルと判定した。
佐藤氏はこのシーンについて、「主審は良いポジショニングで接触を見ており、現場のジャッジが尊重された」と説明。一方で、「(反則を)もらいに来ている、あるいは倒れ方がオーバーアクションではないかという見方もあるが、テクニカルに考えると、ディフェンダーの足の出し方と接触の仕方、倒れるだけのインパクトは十分あったと判断できる」と解説した。非常に難しい判断だったものの、PKが与えられるべきだったということだ。
VARも迷った末に現場の判断を支持したが、結果的には「主審に最終的な判断を促すため、OFRを進言すべきだった」と、JFA審判委員会としてのスタンスを示した。
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現場のレフェリーの判断を尊重する姿勢は重要だが、VARが介入すべき局面で躊躇したケースもあったと指摘。このケースでは、主審がコンタクトを確認できていたことで見逃される形となったが、VARからレフェリーへの進言の方法や伝え方も、今後の課題になりそうだ。




