【WBC】中南米アメリカンドリームの力。茂木健一郎氏が語る侍ジャパンと日本の“二つの敗戦”

ベネズエラ戦のあと、セキュリティスタッフに囲まれてスタジアムをあとにする侍ジャパンの大谷翔平。写真:AP/アフロ

「メジャーリーグでプレーすることが人生の成功への道。ものすごいエネルギーがそこに集中している」

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での侍ジャパン(野球日本代表)の敗退を受けて、脳科学者の茂木健一郎氏が3月16日、自身のYouTubeチャンネルで見解を語った。

 日本は準々決勝ベネズエラ戦を5-8で落として敗退が決定。茂木氏はこの結果を受けて、「この敗戦には二つの意味で大きな意味がある」と指摘した。

 一つ目は、中南米を中心とした野球の持つエネルギーを改めて知ったことだという。ベネズエラやドミニカ共和国はメジャーリーグ(MLB)のトップ選手が多く、今回の大会でも主力として出場。日本も大谷翔平らメジャーリーガーを擁したものの、選手層の厚さや勢いを感じたと語る。

 ドミニカ、プエルトリコ、ベネズエラなどスペイン語圏の国々にとって、アメリカで成功することは大きな夢だ。

「ラテンアメリカからアメリカを目指して這い上がろうというエネルギーがある。メジャーリーグでプレーすることが人生の成功への道という思いがあり、ものすごいエネルギーがそこに集中している。それを私たちは改めて知ったのではないだろうか」

 その勢いは今回の大会でも色濃く表れていたという。「日本の野球ももちろん素晴らしいが、世界は広い。ラテンアメリカの文化とエネルギーの凄さを感じた」と、悔しさをにじませながらもベネズエラの勝利を称えた。

 一方で茂木氏は、今回の大会にはもう一つの「敗戦」があったと指摘する。それが日本のメディアだ。

 日本での配信権は動画配信サービスのNetflixが獲得。茂木氏は「莫大な資金を投じられる力があるということ。そこにはコンテンツ制作力や市場の大きさ、勢いがある」と語る。

 かつては日本のテレビ局も高い制作力を誇っていたが、現在はグローバルプラットフォームとの間で差が広がっていると分析する。「制作現場からスタッフや俳優など人材が流れているという話も聞く。キャリアとしても世界に届くプラットフォームを目指す流れになっている」と指摘した。

 そのうえで、今回のWBCは「野球とメディア、この二つの意味で日本にとっての敗戦だった」と総括する。

「負けることで世界の広さを知り、自分たちの立ち位置を見つめ直すことができる。国内だけでコンテンツを回すのではなく、グローバルな視点で挑戦していく必要がある」

 さらに世界大会を報じる際、日本のテレビにはいまだ“日本式”の視点や表現が変わらず残ると指摘。「大谷選手らはすでに世界基準で戦っているが、日本のメディアはマインドセットから負けている」と厳しく語った。

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