【U-19日本代表】「屈辱と言うか…」荻原拓也に立ちはだかったサウジのぶ厚い壁
U-19アジア選手権のサウジアラビア戦にフル出場した日本の荻原拓也。(C)AFC
3つのポジションでプレーして勝機を探る。
[U-19アジア選手権 準決勝] U-19日本代表 0-2 U-19サウジアラビア代表/2018年11月1日/パカンサリ(インドネシア)
U-19日本代表のDF荻原拓也は、U-19アジア選手権の準決勝サウジアラビア戦で3-4-3(5-4-1)の左ウイングバックで先発し、途中から3トップの左ウイング、4-4-2の左サイドバックと、3つのポジションでプレーした。オーバーラップからのクロス、カットインからのスルーパスで2得点を演出したグループステージ3節のイラク戦(〇5-0)以来の出場となったが、何度か攻め上がりを見せたが、サウジのぶ厚い壁をなかなか突破できなかった。
逆にボールを奪われてカウンターに持ち込まれ、空けたスペースを使われてしまった。悪循環を断ち切り終盤にようやく日本らしい攻撃も見せ始めたが、日本の背番号21はインパクトを残すことができなかった。試合後、荻原は肩を落とした。
「屈辱と言いますか…悔しいだけです。悔しさを通り越して……。完敗と言うか、ボールも支配されて、2点差を付けられて……。認めるしかないです」
荻原は言葉にすることで気持ちの整理をつけていった。
「先制点を獲ることができたら、相手の勢いに乗らせずにできたかもしれないですけど、前半2点を決められてしまうと……こういう厳しい試合になると実感しました。(荻原自身としては)特長を最大限に出すことを意識していました。守備は僕の裏を狙ってくるのでそこを対応しながら、攻撃の部分で自分自身が突破して、クロスやシュートまで持ち込もうとしました。が、なかなか上手くできませんでした」
浦和では、鋭く強烈な左足のキックを生かして、ルヴァンカップのプロデビュー戦でハットトリック達成するというインパクトを残し、最近は切り札的な存在として起用されてきた。ただ一方、U-19日本代表にもコンスタントに選出されてきたものの、この大会は5試合中2試合の出場にとどまった。90分フル出場する機会が限られるプロ1年目の壁にも直面し、まとまったチャンスを得られずにいるもどかしさも感じてきた。
荻原は左サイドから何とか独力で打開しようと試みていた。ただ、さらに周囲を生かし、自らも生きようとする関係を築ければ、その個性は一段と生きるように感じられた。
とはいえ、何より、このアジア選手権は限られた選手しか経験できない舞台だ。今回の日本代表23人に選ばれたことで、得るものもまた大きかった。
「一つは国際試合の難しさ。あとは自分の力のなさ。なかなか思っているような機会は得られず、もっと試合に出たかったし、もっと活躍したかった。すごく悔しい気持ちがあるんですけれど、それをチームに帰って、積み上げていきたいです」
その悔しさを、力に変えるしかない。改めて自身の中で、このインドネシアの戦いの中でできたこととできなかったことを整理して、浦和の大原練習場のピッチにぶつけたい。荻原が浦和での戦いに戻る。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI