【U-19日本代表】希望のレフティ伊藤洋輝と中村俊輔の意外な関係
U-19アジア選手権の準決勝サウジアラビア戦に出場したU-19日本代表の伊藤洋輝。(C)AFC
ジュビロ磐田と言えばレフティ――その系譜に続くタレント。
U-19アジア選手権のグループステージ初戦・北朝鮮戦(〇5-2)、ゲームキャプテンを務めた大型レフティ伊藤洋輝は、強烈なミドル弾でチーム2点目をもたらした。そしてU-20ワールドカップ(W杯)の出場権を獲得した準々決勝でも、齊藤未月とボランチコンビを組み、しっかりリスク管理しながら2-0の勝利に導いた。
この大会で、日本の中心を担うMVP的な役割を果たしたと言えた。橋岡とともに準々決勝と準決勝のサウジアラビア戦の2試合連続でスタメン起用されたところにも、日本の影山雅永監督から寄せられる信頼がうかがえた。
「中心でやらなければいけないという自覚はあり、カゲさんからも言われていたので、そこはまっとうしようと思ってやってきました」
ただ、インドネシアよりもレベル的に大きく上がったサウジアラビアに0-2で敗れ、「素直に悔しかったです」。3バック(5バック)の前でなかなか主導権を握れず苦しんだ。
「すぐには切り替えられませんでしたが、個の部分で劣っているところ、それにボランチでは海外の中盤の選手だと仕掛けてくる選手も多いのでどのように対応するかなど、むしろ、今ははっきりした課題が出たと思っています」
所属するジュビロ磐田といえば、二人の日本を代表するレフティがいる。名波浩監督と中村俊輔――。名波監督からは伊藤の出発前、「まず出場権を勝ち獲ってこいよ!」と背中を押されたという。
そして中村と伊藤は、ほぼ毎週、練習後に食事に行くほどの仲だという。
「まあ、僕が勝手に引っ付いているというか、近くにいるだけだとも言えますが……」
伊藤からだけでなく、中村から話しかけてくることも多く、「サッカーの話、ヨーロッパの話とかはよくします。話を聞けるだけでも大きいですよ」。
今季はDFとしてプレーする機会もあったが、体格も大きくパワーとテクニックを備えた、現代的なタレントだ。タイプは異なるものの、名波監督と中村、この二人とともに練習から取り組めるというのは、伊藤にとっても得るものが多いと言う。
「素晴らしい環境ですから、そういった方々から学べることに感謝しながら成長していきたいです。(最近のリーグ戦では)大きな2勝を挙げられました、残り3試合、自分も少しでも絡んでいければと思います」
これから伊藤は、まず磐田で出場機会を掴んでいくことが目標となる。
「(U-19アジア選手権での)優勝という目標は達成できなかったですけど、来年のU-20ワールドカップ(W杯)に向けて、逆にチームとしての課題もはっきり出たと思うので、ポジティブに捉えています。集る機会は限られるので、個々がしっかりチームで成長することで、また集ったときに代表チームとして成長できていればと思います」
名波監督も中村もチームを勝たせ、なおかつ魅せるレフティとして、記憶と記録を刻んできた。インドネシアでは、チームを支え、そして勝利を最優先して堂々と戦い切った。磐田と言えばレフティ――伊藤もその系譜に続けるはずだ。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI