【Jの輪】河原和寿、梅崎司、そして…「調子乗り世代」は這い上がる
愛媛の河原和寿(左)と湘南の梅崎司(右) イラスト:茉莉香 │MARIKA
U-20代表時代の主将、大分でもつながる福元洋平へ!
Jリーグの選手が友達をつないでいく「Jの輪」は、『調子乗り世代』の河原和寿(愛媛FC)、梅崎司(湘南ベルマーレ)、さらに福元洋平(レノファ山口)へとバトンがわたる。
『調子乗り世代』とは、吉田靖監督のもと、2007年のU-20カナダ・ワールドカップ(W杯)に出場組など1987、88年生まれの選手を指す。とにかく明るく元気で、調子に乗ると手に負えないほどの勢いと強さを発揮する。そのU-20W杯ではグルプステージを2勝1分と無敗で1位突破し、チェコとの決勝トーナメント1回戦でも2点先取したが……そこから追い付かれてPK戦の末に敗れた。
当時のU-20日本代表チームは、槙野智章、柏木陽介、内田篤人、大田宏介、安田理大、ハーフナーマイク、森島康仁、田中亜土夢、林彰洋……。確かに個性的で、今なおなんとも憎めない選手ばかりが揃う。
そのなかで、河原はエースとして、梅崎は(田中とともに)切れ込み隊長として、チームを前線から牽引した。
梅崎によると、河原と一緒にいる時間が自然と長くなった理由があるという。
「僕らはイジラレ役。早生まれで学年的にはみんなが年下になるのですが、兄さん役では決してなかった。そんな環境だからこそ、一緒に仲良くやっていました(笑)」
河原と梅崎は大会を経て、これまでも常に触発し合ってきた。
「それから河原とは連絡を取り合い、活躍ぶりもずっとチェックしてきました。いろいろなチームを渡り歩いて苦しい局面も乗り越えてきた、その活躍は僕にとっても本当に励みになってきましたね」
たくさんの刺激を受けてきたのは、河原も同じだと言う。
埼玉県の大宮東高校出身の河原は年始に浦和時代の梅崎宅を訪れ、一緒に初詣に行ったこともあるという。
「年に一度は会って、熱い話をしています。僕は今なおウメちゃんから刺激をもらってばかり。ギブアンドテイクって言いますけど、正直、僕から彼への『ギブ』はあまりできていない。 サッカーに対する情熱が溢れていて、僕がプロになって出会ってきたなかでも1、2位を争うくらい強い意志を持った選手」
その溢れる情熱が、二人を高め合ってきた。そして、いろいろなチームで必要とされてきた。
2018シーズン、河原は出場機会こそ限られたが愛媛のJ2残留のミッションを達成。梅崎は移籍1年目の湘南でルヴァンカップ制覇を果たした。
そんな梅崎がつないだ次の選手が、大分トリニータユース&トップチーム出身であり、『調子乗り世代』のU-20日本代表でキャプテンを務めた福元洋平だ。
「学年的に年下なんですが、常に上を行く存在。ユースで僕が高校2年生のとき、洋平は1年生で唯一試合に出ていました。それからトップチームでも、洋平が先にスタメンで試合に出ていた。加えてアンダー世代の日本代表でもキャプテンを務めていた。一番身近にいながら同世代のトップであり、僕が追いかけていました」
梅崎はそのように福元の存在について語る。
「昔はたわいない話もしたけど、お互い30代になり、より一層、サッカーとの付き合い方、向き合い方に関する話が増えました。移籍するときも相談して、あいつは良い答えを返してくれました。逆の立場もしかり。一番話すのが福元で、それから河原も。本音をぶつけ合えます」
プロになってからの福元はケガに苦しみながら、チームを、そしていろいろな選手を後方から支えてきた。その支えてきたのが、河原であり、梅崎でもあった。
福元からが紹介する友人は!? 『調子乗り世代』が続くのか。大分つながりか。それとも……。
福元の登場する「Jの輪」は、明日12月23日昼を目途にアップします!
文:サカノワ編集グループ