有望株、清水ユースのFWノリエガ・エリックがCBに挑戦!
横浜FMユース戦、センターバックとしてフル出場した清水ユースのノリエガ・エリック。(C)SAKANOWA
Jリーグ国際ユース大会で上々のパフォーマンス。「特長を生かせる」と本人も前向き。
[Jリーグインターナショナルユースカップ] 清水ユース 1-2 横浜FMユース/2018年12月23日/長野市営陸上競技場
清水エスパルスユースでストライカーとして活躍してきたノリエガ・エリックが、「Jリーグインターナショナルユースカップ」でセンターバックとして2試合にフル出場し、上々のパフォーマンスを披露した。
横浜F・マリノスユースとの5・6位決定戦だった。一瞬、清水がどちらに攻めているのか目を疑った。FW登録のノリエガが清水ユースの最終ラインに入っているのだ。
ペルー出身、高校2年生ながら182センチと身長も高くフィジカルも強いノリエガは、併せ持った強さと柔軟性を生かし、しっかり相手の攻撃を跳ね返しながら、苦しい態勢からも中盤や前線に正確なパスを供給していく。さらに相手の隙を突いて、精度の高いロングフィードも放ってみせた。
この起用について、清水の平岡宏章監督は次のように説明した
「前(FW)もやりながら、後ろ(DF)もやっていきます。今回、川本梨誉もサイドバックにチャレンジさせました。どこが一番適しているのか、いろんなポジションをプレーさせていきます。2018シーズンのトップチームの最終ラインが良い例で、最終ラインの4人のうち3人が中盤出身の選手でした。先を見据え、彼らにとってどこが最適解なのか、クラブとも話し合いながらやっていきます」
とはいえ、これまでFWとしてプレーを続けてきた本人は、DF起用をどのように受け止めているのか? 試合後に話を聞くと……ノリエガはむしろ充実感に満ち溢れていた。
「ボールを強くしっかり蹴れるところを生かせますし、パスから狭いスペースを打開できます。それに、味方が動き出したのに気づいて、フィードも狙えます。チームの戦術のなかで自分の良さを出しながら、これからDFとしても努力していきたいです」
フィジカルの強さやキック力、それにスピードを生かし、最後方からビルドアップに加わり、攻撃の起点になれる。自身の特長を生かすコツをさっそく掴んでいた。
Jリーグインターナショナルユース前のトレーニングマッチ約15分間プレーしたところ、すんなりとハマった。そこで、大会に入り、2試合でフル出場を果たしたという。ノリエガはFW、DF、どちらでもトライしたいと言う。
「とにかくプレーしたいです。もしも監督がFWで行くぞ、と言えばやりますし、後ろでも最善を尽くします」
彼はさっそく前向きに取り組み、このポジションの醍醐味を吸収。横浜FMユース戦はU-17日本代表にも選ばれるブラウンノア賢信に2ゴールを決められ、1-2で敗れた。ただ、それもまた今後への財産、貴重な経験になったと言えた。
「とても気持ちよくプレーできました。CBでプレーする楽しみをまた掴めました。これまで途中出場や交代が多かったので、何より久しぶりにフル出場できたことで、充実感を得られました」
長野で開催された国際大会、最後の試合は観衆103人と少なかったものの、熱いエスパルスサポーターの声援を受けて戦った。ノリエガのサッカー人生の分岐点になるかもしれない。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI