大迫勇也がアジア杯決勝へ強調した「鹿島魂」
大迫勇也。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
日本での5年間、4つのタイトルを獲得。うち3つがカップ戦。頼れる『決勝』の勝ち方を知る男。
[アジアカップ 準決勝] 日本 3-0 イラン/2019年1月28日/ハッザーア・ビン・ザーイド・スタジアム
日本代表のFW大迫勇也がグループステージ初戦のトルクメニスタン戦(〇3-2)以来の先発を果たし、2ゴールを奪ってチームを勝利に導いた。
まさにエースストライカーと言える活躍ぶりだった。約20分間”試運転”した準々決勝のベトナム戦(〇1-0)に続いて出場ではあった。
イランDF陣との激しい攻防を経て、56分、相手の足が止まったのを見逃さなかった南野拓実のクロスにヘッドでピンポイントで合わせて先制。67分、南野のクロスが相手のハンドを誘って奪ったPKを冷静に沈めて2点目を奪取――。
試合の主導権を握っただけではなく、イランの戦意を瞬く間に奪ってみせた。試合終了間際には原口元気のダメ押し弾も決まり、終わってみれば3-0の快勝。大迫はむしろ安堵したように言った。
「試合に出場できない時間が続き、チームのために点を取ろうと思っていたので、決められて良かったです。ケガもあってなかなか試合に出られず、不甲斐ない気持ちがすごく強くて。その気持ちをピッチのなかで晴らして、プレーで示そうと思っていました」
ベンチで試合を見守っていた何とも言えない気持ちを、しっかりピッチで示した。
とはいえ大迫は、満足していない。4日後の決勝へ気持ちを向けていた。
「この大一番、アジアカップの中で一番出来の良い試合ができたので、自信にはなりました。ただ、今日で終わったわけではありません。また切り替えて、次の試合に臨みたいと思います」
どのように決勝を戦うか――。大迫は、まさに体にしっかり沁みついている不屈の鹿島魂と言える答えを出した。
「勝つしかないので、結果だけです。勝つだけです」
鹿島では5年間在籍したなかで4つの主要タイトルを獲得してきた。3つはカップ戦。自身のゴールでタイトルをもたらしてきた。ある意味、トーナメントの勝ち方を、チーム内で誰よりも知っている。
決勝は勝つことにすべてを集中すればいい。むしろシンプルだ。そのためだけに準備をする。日本がこの決勝トーナメントに入ってからの3試合と変わらず、ただ勝つために。
大迫は強調した。
「ワールドカップのあとに若い選手が入ってきたなか、このアジアカップを獲れれば、若い選手も自信をつけ、さらに強い日本代表になれると思います。次勝つかどうか、大きな一戦になります」
決勝まで中3日。対戦相手はカタールかUAE。再びコンディションを万全に整えてピッチに立つことに全神経を注ぐ。大迫はチームのため、日本代表のため、勝利のためにゴールを狙う。