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湘南の強みを、大宮の力に。石川俊輝が名刺代わりのゴール

プレシーズンマッチの松本戦でゴールを決めた大宮の石川俊輝。(C)SAKANOWA

松本とのプレシーズンマッチ、フアンマのクロスに合わせる。

[Jリーグ PSM] 大宮 2-0 松本 /2019年2月9日/NACK5スタジアム大宮/6,286人

  今季湘南ベルマーレから大宮アルディージャに完全移籍で加入したMF石川俊輝が、松本山雅FCとのプレシーズンマッチで「名刺代わり」の初ゴールを決めた。

 高木琢也監督のもと、基本システムを昨季の4-4-2から3-4-2-1に変更し、より本番に近いシチュエーションで臨んだ一戦。新ユニフォームを着た大宮の選手たちは手探りで連係を探るなか、27分、カウンターを発動。フアンマが左サイドを攻略してクロスを放ち、ボランチの位置から飛び込んだ石川が合わせて、先制点を決めた。

「湘南の時にゴール前へ飛び出すところは意識してきたことで、相手が嫌がる、怖がられるプレーを出していくことは、ここに来ても大切なところ。フアンマ選手が上手く抜け出してくれたので、チャンスだと思い飛び込みました」

 足も頭も休ませることなく、正確にパスをつなぎ、スペースに顔を出し、そしてチャンスと見れば大胆に前線へ繰り出す。5年間在籍した湘南で、体に沁み込ませてきたプレーだ。

 と同時に、その武器が高く評価されたことで、今回、大宮移籍につながった。その持ち味をさっそくいかんなく発揮した。

「(大山)啓輔が上手くバランスをとってくれていたので、僕は自由に動けました。啓輔のバランスを見る能力の高さを感じます。信頼をしていないと、自由にはできません。啓輔には感謝しています。(横に並ぶなど)重ならないように意識していました」

 チームに推進力を与え、得点に結び付けた。何より「勝ちたかったですから」と、勝負にもこだわった。

「(得点シーンは)目の前が空き、パウさん(パウリーニョ)が僕の目の前を追い越していき、そこにちょうどマイナス気味にボールが入ってきて、ラッキーでした。さらに良くなる部分は多々ありますし、あとリーグ開幕まで2週間かけて、連係の部分だったり、チームのオーガナイズの部分だったり、もっと高めていけると思うので、練習からもっともっと突き詰めていきたいです」

 そのように石川は振り返った。ただの1点ではなかった。相互とチーム内のバランス、信頼関係、駆け引き……様々なものが結実して生まれたゴールだった。

 試合終盤には奥抜侃志にもファインゴールが生まれた。高木監督も「リーグ戦開幕を控え、結果もそうですが、チームとして立ち上げからここまで取り組んできた成果を発揮できました」と手応えを掴んでいた。

 その中心にいたのは大宮ジュニアユース、ユース出身である石川。それから東洋大と湘南を経て逞しく成長を遂げた27歳のセンターハーフが、大宮を昨季よりも高みへと導く。期待を抱かせてくれるのに十分なファーストインパクトだった。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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