横浜新加入のSB広瀬陸斗。J1初挑戦に元浦和の父・治氏の反応は?
徳島から横浜FMに加入した広瀬陸斗。(C)SAKANOWA
徳島時代とスタイルの親和性を感じる。むしろ、さらに攻撃的に行く!
23歳のDF広瀬陸斗が今季、徳島ヴォルティスから横浜F・マリノスに完全移籍で加入した。テクニックとスピードを備えた元来ストライカーだった攻撃的なサイドバックとあって、アンジェ・ポステコグルー監督のもとで、ハマれば十分、新たな横浜の武器になり得る。
浦和ユースから2014年に水戸ホーリーホックへ加入す、翌15年から昨季まで徳島でプレー。ダイナックな攻撃参加を売りに、4年間の徳島時代では左サイドバックの内田裕斗との両翼の思い切った攻め上がりから多くのチャンスを作り出した。
「元々レッズの下部組織出身で、マリノスとの試合はサポーターの数も多くて、いつも熱い戦いになっていました。伝統のあるチームだと思います」と、広瀬は横浜FMの印象を語る。さらにポステコグルー監督のスタイルには、以前から自身のプレーとの親和性を感じていたという。
「徳島ではリカルド・ロドリゲス監督も似た感じでポゼッションを重視して、ボールを後ろからつなぎながら崩すスタイルを志向していました。(ポステコグルー監督のスタイルは)サイドバックの動きは変則的ですけれど、リカルドの時に経験しているので、違和感は特にないです」
広瀬の父は、浦和で「8」番をつけた治氏。今回の移籍について、何か話したりしたのだろうか。
「J1でのプレーが初めてになることについて、家族も、周りの友人も喜んでくれています。関東に戻ってこれたので、見に来てくれやすくもなりました。そういう部分では嬉しいと言ってくれています。ただ、あとは特には何もなかったです(笑)」
治氏は現役時代、浦和(三菱)一筋だった。その後は指導者として、数多くの選手たちを見てきている。ただ広瀬は、そんな父と移籍について意見を交わしたり、アドバイスのようなものを聞いたりすることはなかったと言う。
「実は昔からサッカーの話はあまりしないんです。だから今回もそういった話はしませんでした」
広瀬は一切の介入や影響などを受けず、自分自身で道を切り開いてきたのだ。
何より新天地の横浜FMでは、これまで以上に、自分自身のストロングポイントが生きるはずだと感じている。
「もともと浦和ユースまではFWでプレーしていました。サイドバックの選手が内側から上がって行き、ペナルティエリア付近でプレーすることも多いと思うので、そこからゴールを奪い、ゴールに近づければアシストのチャンスも増やし、どんどん狙っていこうと思います」
ゴールに対して、とにかく貪欲だ。
横浜FMの右サイドバックには元日本代表の松原健がいる。左サイドバックは山中亮輔が浦和レッズに移籍した一方、ティーラトンが加わり、ヴァンフォーレ甲府で成長を遂げた高野遼が復帰を果たした。山田康太も昨季SBにチャレンジしている。広瀬がそういったポジション的にライバルになるタレントたちと、どのような相乗効果を生んでいくのか(基本は右SB)。新たな翼になれるか。言葉よりもプレーで実証してきたタイプなだけに、ピッチ上からどんなメッセージを発してくれるのか――今から楽しみだ。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI