内田篤人、川又堅碁が肘打ち出血。防げなかったのか?
鹿島の内田篤人(左)、磐田の川又堅碁(右)が出血…。(C)SAKANOWA
「日本人はフェアプレー」という既視感も関係か。内田は交代を余儀なくされる。
J1リーグ3節、鹿島アントラーズの内田篤人が湘南ベルマーレ戦で、ジュビロ磐田の川又堅碁が大分トリニータ戦で、いずれも試合終盤に相手との接触時に肘打ちを食らって、出血する事態に見舞われた。試合は鹿島が1-0で今季リーグ初勝利を収め、磐田は1-2で敗れて未勝利のまま。
いずれも空中のボールの競り合いで、内田は山﨑凌吾に押し込まれる形で肘が入った額を切り、川又は鈴木義宜がヘディングするために振り出した肘に強打されて鼻から出血した。両ケースとも選手は危険にさらされたプレーであるが、反則はとられず、プレーが続行された。内田は負傷により交代し、川又は鼻骨骨折の疑いがある。いずれも結果的に、ファウルではないとはいえ、ケガをさせた側(選手、チーム)が得をする形にもなってしまった。
鹿島対湘南戦では、鹿島の1点リードで迎えた82分、スローインの流れから左サイド(鹿島の右)に流れていた山﨑にフィード。山﨑が内田を抑え込むようにした際、肘が入った。そのあと、鹿島側がプレーを止めた。一見何でもないプレーにも見えたが、内田は額を切って大量に出血。テーピングを巻いてピッチに戻ったものの、86分、三竿健斗と交代した。
また磐田対大分戦では、磐田が1-2と1点を追う76分、後方からのロングフィードに対し、落下的に入ろうとした川又の顔面に、体を入れてジャンプヘッドした鈴木の肘が顔面に入った。近くでプレーを見ていた主審はプレーをすぐ止めたものの、ファウルは取らなかった。
この肘打ちに関しては、レアル・マドリーのDFセルヒオ・ラモスのラフプレーをはじめ世界中でさまざまな形で取り上げられているが、明らかな故意でなければ反則を取られていない。どこからが故意の行為と言えるのか、ある意味、グレーゾーンになったままの状況だ。
何より、どうすれば防げたのか。フェアプレーを謳うJリーグだが、肘打ちに関しては、ある意味”寛容”と言える。判定に関して、外国人選手に厳しく、日本人選手にやや甘い印象も否めない。明らかに故意と分かるようにする選手が少なく、主審も「しないもの」という前提で判定していて、そのため『この選手が故意でするはずがない』という主審の印象で、瞬間的にジャッジされている感じだ(外国籍選手からJリーグの審判のレベルについて言われる場合、そのあたりも関わっているのだろう)。
もちろん、山﨑も鈴木もケガをさせるためにわざとしたとは思わない。しかし肘打ちは、今回のように、選手生命にもかかわる危険なプレーであることは明白。フェアプレーを遵守しているチームが”損”をするようであれば、様々な面にかかわってくる問題と言える。そのあたりも考えていきたいテーマだ。
文:サカノワ編集グループ