鹿島対湘南、ルール運用で問題。本来退場処分だった岡本がプレー続行
鹿島の安西幸輝。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
もしもプレーに関わった場合、間接FKを与えることも可能。
[J1 3節] 鹿島 1-0 湘南/2019年3月9日/カシマサッカースタジアム
Jリーグの疑問の判定について検証を行う、『DAZN』のコンテンツ「Jリーグジャッジリプレイ」が更新されて、3月9日、10日に行われたJ1・J2の3節について振り返った。日本サッカー協会の上川徹トップレフェリーグループシニアマネジャー、Jリーグの原博実副理事長、Jリーグウオッチャーの平畠哲史氏が、3つのシーンで議論を展開した。
そのなかで鹿島アントラーズ対湘南ベルマーレの44分のシーンが扱われた。
自陣左サイドからカウンターを発動し、パスを出して攻め上がる鹿島の安西幸輝を、敵陣まで上がっていた湘南の岡本拓也が左腕でブロック。そのあと、鹿島の安部裕葵がパスを受けて、プレーが続行された。しかしボールが外に出たあと、岡本は2枚目のイエローカードを受けて退場処分になった。
競技規則では、アドバンテージについて次のように記載されている。
アドバンテージ
・明らかな得点の機会を除き、著しく不正なプレー、乱暴な行為または2つ目の警告とな る反則を含む状況で、アドバンテージを適用すべきでない。主審は、次にボールがアウトオブプレーになったとき競技者に退場を命じなければならないが、その競技者がボールをプレーする、あるいは相手競技者に挑む、または妨害する場合、主審はプレーを停止し、その競技者を退場させ、間接フリーキックでプレーを再開する。ただし、その競技者がより重い反則を犯した場合を除く。
つまり、この規則に従うと、本来であれば、主審は岡本がファウルを犯した時点でプレーを止めて、2枚目のイエローカードを出さなければいけなかったのではないかというシーンだ。
というのも、平畠氏も指摘していたが、岡本がプレーを続行することで、ゴールを決めることや決定的シュートをブロックするなど、本来、退場処分を受けていないはずの選手が得点機に関わってくる可能性があるからだ。しかし今回のケースでは、すでにイエローカードを1枚受けていた岡本に、すぐには2枚目のイエローカードが出されなかった。
上川徹氏は次のように説明した。
「本来、競技規則に従うのであれば、2枚目のイエローカードを出して退場処分にすることが正しかったと思います」
そのようにルールの運用に問題があったことを認めたうえで、次のようにも補足した。
「ここで難しいのは、反則が起きたあとで湘南の6番(岡本)で2枚目だと分かることがあります。ゲームを止めるタイミングを逸したのかなと思います。その場合、6番の選手がそのあとプレーにかかわったのであれば、そこで間接FKを与えることができます。そこを考えながら、レフェリーは試合をコントロールしたのだと思います」
もしも、この流れで岡本がプレーに関与した場合、その地点で間接FKが与えられていた可能性もあるということだ。
一方、原副理事長は「岡本のプレーは反則だが、イエローカードを出すほど酷いプレーではないのではないか。そこでボールを止めてしまうとサッカーがつまらなくなってしまう」と指摘した。
これについて上川氏は「反則がなければ、安西選手が追い越し、鹿島はもっと大きなチャンスになっていた可能性があります。そう考えると、リスクを伴って上がっていた岡本選手は、ここで潰しておこうと、目的、意図を持っているところも見える」と説明。攻撃参加したDFがリスクを回避するため、ビッグチャンスになりかけた相手選手を反則で止めることは警告になり得ることも示唆した。
文:サカノワ編集グループ