小笠原引退、昌子移籍…三竿健斗が「覇気のない」鹿島で考える自分にできること
FC東京戦でプレーした鹿島の三竿健斗。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
明日23歳の誕生日。「自分が勝たせる」自覚を示すことでより高みへ。
[J1 7節] FC東京 3-1 鹿島/2019年4月14日/味の素スタジアム
鹿島アントラーズがFC東京に1-3で敗れた。3勝2分2敗の勝点11から伸ばせず、順位は6位のままだが、勝点差で上位戦線との差が開いた。
日本代表にもコンスタントに招集されてきたボランチの三竿健斗だが、今シーズンはケガにより出遅れ途中出場が続く。この日、今季最長となる後半45分間プレー。チームに流れをもたらしたが、3点差を返すことはできなかった。
この日、心掛けたのはボールを散らして、相手に守備を絞らせないこと。その狙いから、レオ・シルバの1ゴールをもたらしたが、その後はしっかり中央を固めたFC東京の守備網を攻略できなかった。
「ジュビロ磐田戦(5節△1-1、32分間プレー)でも1点ビハインドから途中出場しましたが、中央からの崩しに偏りすぎて、相手が守りやすかったように感じました。だから今回は押し込んだ時には、横にも振りながらダメージを与えて攻撃していきたいと、そこを意識しました」
そういった工夫のなかから三竿自身もシュートを放った。ただGK林彰洋の好セーブに阻まれた。
DFリーダーの昌子源がフランスに移籍し、長年クラブを支えた小笠原満男が引退した。リーダーシップのあるタレントが不足していると言われる今年、そのなかで三竿もどのような立ち位置を担うべきか試行錯誤している。
そのなかでブレずにいるスタンスはある。シンプルに、鹿島を勝たせる選手になること――。
「鹿島で試合に出ている以上、選手のみならず裏方のスタッフもいるわけで、そのチームの代表して戦っています。年齢など関係なく、自分がチームを勝たせる気持ちが一番大切だと思います」
ベンチからチームを見守る時間が多かった。そこで感じたのは、鹿島の選手たちの元気のなさだった。
「今は少し覇気がないなって、すごく感じます。ケガをしていた間も。鹿島はもっと上を目指している。Jリーグで圧倒的にやれないと、その域には行けない。そういう意識を全員が持っていれば、今日の相手にも勝てたはずです。もっと一人ひとりが責任を持って、闘っていきたい」
鹿島のために、目の前の勝負にこだわり「勝つ」。その勝利への全員の意識、一体感がやや希薄になっている。それを取り戻す。むしろ今こそ高めることも、自分の責任だと感じている。
三竿がピッチに立つ際、手を叩いてチーム全体を鼓舞した。
「中でワーワーと声を放つ選手がいなくて、みんな黙ってやっているような感じで。僕が入っていく時、そうやって鼓舞していくことも一つ役割だと今年は考えています。周りに言うことで責任が増して、僕自身のプレーの質も上がると思っています。もっともっとですね。今日であれば、シュートを決め切らないといけなかった。まだまだだと実感しました」
いろいろなタイプの選手がいる。それぞれに個性がある。声を出すかどうかはプレーの向上にはさほど関係ないかもしれないが、勝ち続けるためにはチームに必須であるとも感じている。
鹿島で3年目を迎え、周囲から認められる「中心選手」になった。その自覚はある。明日4月16日に23歳の誕生日を迎える。鹿島のこれまでにない新たな「軸」としての在り方を、三竿は模索する。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI