「安西選手に関しては…」久保建英が日本代表SBとのバトルで掴んだ新感覚
セルジーニョと対峙するFC東京の久保建英。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
顔面に相手の手が入り、目が霞み続けて交代を申し出る。
[J1 7節] FC東京 3-1 鹿島/2019年4月14日/味の素スタジアム
FC東京の久保建英が鹿島アントラーズ戦で4-4-2の右MFとして先発し、チームの2、3点目につながるカウンターの起点になるキックを放った。試合の早い段階で先制、追加点を奪えたこともあり、この日は守備に意識を置きながら、随所で相手を脅かすプレーを見せて、チームの勝利に貢献してみせた。
「特に3点目はディエゴが全部やっていたので、自分がどうこうというのはないです。2点目は(永井)謙佑さんが上手くトラップしてくれて、そこから斜めへのドリブルが効いたと思います」
「2点目は、ちゃんと狙っていました。3点目はほぼクリアで、『とりあえずディエゴに蹴っておこう』という感じでした」
久保はそのように得点シーンについて振り返り、あくまでも永井とディエゴ・オリヴェイラの「個」の力を発揮したことで生まれたと強調していた。
また、レア・シルバとの競り合いで顔面に手が入り、目が霞むちょっとしたアクシデントも起きた。
「映像を見ていないのでよく(状況が)分からないですけれど、『行けるかな』と思ったけど、ちょっと目があまり良く見えなくなり、一度、止まった感じでした。(最後は「×」を出したが?)ちょっとなんか目があまりよく見えていない時間が続き、交代する直前、コーナーキックを自分が蹴るよりも別の選手のほうがいいかなと思いました。(大森晃太郎がピッチサイドに出ていて)交代することは分かっていましたので」
試合後は霞みも取れて、特に問題はないということだ。
そして、この試合では、3月のキリンチャレンジカップに初めて日本代表に招集されたDF安西幸輝と対峙した。今Jリーグで勢いのある一人に挙げられる安西にいかに仕事をさせないか。FC東京がゴールを先取できた流れもあり、ある程度、守備に軸足を置いて対応したという。
「安西選手に関しては、カットインのクロスから去年も決められています。それはスカウティングからも(情報が)挙がっていました。だから、いつもより中を警戒してプレーしていました」
やや中央寄りにポジションを取り、安西の出方を見ながら、自らの間合いに持ち込んだ。そのように対処しながら、「連係も良かったと思います」という2点目につなげた。
「プラン通りというよりも、それ以上の出来。勝利に貢献できているっていうのは嬉しいことだと思います」
イケイケで攻めるだけではない。試合の流れを読みながら、どのようなプレーが効果的かを考えながら繰り出した。しかもホームで鹿島からの3-1での勝点3――久保がまた一つ、勝利に導く新たな感覚を掴んだ。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI