【G大阪×浦和】決勝点での興梠オフサイド疑惑、審判部の見解は?
浦和の興梠慎三。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
エヴェルトンの一撃は「グッドゴール」。
[J1 7節] G大阪 0-1 浦和/2019年4月14日/パナソニックスタジアム吹田
浦和レッズ対ガンバ大阪の87分、CKの流れから浦和のエベェルトンがシュートを突き刺したが、その際、浦和の興梠慎三がオフサイドポジションにいた。そのため、後ろにいたGK東口順昭は視界を遮られるなど影響を受けており、オフサイドの反則だったのではないか? このシーンについて、4月16日に更新された「DAZN」の「Jリーグジャッジリプレイ」で、日本サッカー協会(JFA)審判委員会副委員長のレイモンド・オリバー氏が見解を示した。
問題のシーンでは、副審が興梠がオフサイドポジションにいたことを把握。飯田淳平主審が副審と協議したあと、ゴールを改めて認定している。
オリバー氏は次のように解説した。
「これはグッドゴールでした。競技規則では、まずGK(東口)の視界が完全に遮られてプレーに影響を与えていたかどうか。重要なのはボールが蹴られた瞬間です。ゴール裏からのビデオを見ると、GKはシュートの瞬間、ボールがはっきり見えていました」
「次に30番(興梠)がGKや他の選手に影響を与えているかどうか。影響を与えたかというのは、プレーしようとしたりしたか、または相手競技者のプレーを防いだりしたかどうか。(興梠はまったく動いていなかった)」
こうした状況は「ジグシーオフサイドシチュエーション」と呼ばれるという説明も行われた。
「主審と副審がそれぞれ50パーセントの情報を持っています。副審からは30番(興梠)が明らかにオフサイドポジションにいることが分かります。そこで一旦、副審は旗を上げるわけです。一方、主審はGKの視界が遮られているかどうかを判断する唯一の審判員になっています。そこでお互い話し合って、最終的に判断を下しています」
そのように二人の情報を合わせて、最終的な判断を下した状況となった。
競技規則11条の2「オフサイド」では、ボールが味方競技者によってプレーまたは触られた瞬間にオフサイドポジションにいる競技者が、「明らかに相手競技者の視線を遮ることによって、相手競技者がボールをプレーする、または、プレーする可能性を妨げる」と記されている。
シュートを蹴られた『瞬間』に、『明らか』に視界が遮られているか。それが重視されていることを、オリバー氏も強調していた。
また、オフサイドポジションにいる興梠がまったくプレーに関与していなかったことも、判断の大きな材料だった。オリバー氏は次のようにも語った。
「オフサイドはそのポジションにいるだけでは反則になりません。関与したり、邪魔しようとしたりした時点で反則になります。立っているだけでは反則になりません」
そういった意味で、オリバー氏は主審と副審について、「いいポジション、卓越した判断、そしていいチームワークだったと言えると思います」と、今回の判定は問題がなかったと言っていた。
興梠がオフサイドポジションにいることでG大阪のDF陣もマークにつくなど引っ張り出されており、その意味で、プレーに関与していたのではないか? と受け止めることもできそうだが、その点については触れられなかった。興梠の何もしないという判断が、絶妙な”ナイスプレー”となった。
浦和のエベェルトンは来日初ゴールを記録。3試合ぶりの勝点3を獲得し、今週末の20日午後1時からホームでヴィッセル神戸と対戦する。一方、3連敗を喫したガンバ大阪は再びホームで20日午後4時から大分トリニータ戦が組まれている。
文:サカノワ編集グループ