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現役引退を発表。ミキッチが語っていたプレーヤーとしての矜持

広島と湘南でJリーグ通算10年間プレー、このほど引退を発表したミキッチ。(C)SAKANOWA

「先発で出られなければ意味がない」

 サンフレッチェ広島に9年間、そして湘南ベルマーレに昨季1年間在籍したMFミキッチが、このほど現役引退を決断した。湘南が4月18日、公式ホームページで発表した。

 本名はミハエル・ミキッチ(MIHAEL MIKIC)。1980年1月6日生まれの39歳。 クロアチア出身。ディナモ・ザグレブ(クロアチア)やカイザースラウテルン(ドイツ)を経て、2009年から広島でプレーし、昨季は湘南に在籍した。J1通算227試合8得点、ルヴァンカップ18試合0得点、天皇杯12試合1得点、ACL7試合0得点、クラブW杯5試合0得点。

 ミキッチは次のように湘南の公式HPでコメントしている。

「この度、現役を引退することを決意しましたので皆様に報告します。

 私自身はまだプレー出来ると思いオファーを待っていましたが、また日本でプレーをするということは叶いませんでした。

 10年間日本でプレーしたことは、私にとって人生最大の喜びであり、誇りです。どんな時でも私に寄り添い、力を与えてくれたサポーターの皆さんには本当に感謝しています。 そして、私と共に戦ったチームメイト、監督、スタッフのみなさん本当にありがとう!

 サンフレッチェ広島では3回のリーグ優勝、現役最後のチーム、湘南ベルマーレでもルヴァンカップのタイトルを獲得する事ができました。 私は私らしく勝者として現役生活の幕を下ろしたいと思います。

 また近い将来、日本の皆さんに会えることを楽しみにしています!」

 私らしく『勝者』として幕を下ろしたい――。その言葉で思い起こされるのが、昨季、湘南に加入した時に、ミキッチが語っていた言葉だ。

 38歳でありながら第一線で戦ってきた。他にも同世代や年上の選手も活躍しているが、ミキッチが長く現役を続けるためにしてきた秘訣は? そのようなニュアンスの質問に、彼は結構力を込めて言った。

「(ある同世代の選手の名前が出ると)試合に出ていますか? ほとんど出ていません。メンバーに名を連ねているだけではなく、先発で試合に出られなければ意味がない」

 ミキッチは2017年、公式戦15試合(リーグ14試合)に出場していた。そして湘南では開幕前のケガなども影響して、リーグ6試合の出場にとどまった。

 サイドを蹂躙し、敵陣をえぐってクロスを放つ。ピンチの際には、自陣まで引き返して味方を助ける。

 その意外と小さな体にため込んだエネルギーを豪快に爆発させ、チームが苦しい時には、フルスロットルになって助けるプレーぶりは、まさに”先発タイプ”。”クローザー”のような役回りには合わなかったと言えるかもしれない。だからこその「勝者」のサッカー人生と言えた。

 日本での10年間で4つのタイトルをもたらした。ミキッチがその持て余すエネルギーを、次にどのように生かすのか。これから迎える新たなキャリアでの活躍ぶりに期待したい。

文:サカノワ編集グループ

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