令和元年はFC東京のセットプレーに要注意!久保建英が太田宏介と見出した変化の付け方
FC東京の久保建英。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
松本戦では立ち上がり太田、途中から久保にキッカー変更。その狙いは?
[J1 10節] G大阪 – FC東京/2019年5月4日14:00/パナソニックスタジアム吹田
FC東京の久保建英と太田宏介のセットプレーの役割分担が、より明確になってきたようだ。
4月28日の9節・松本山雅FC戦、今季太田がリーグ戦初先発を果たした。4月のルヴァンカップのグルーステージ2試合で、途中出場した久保と”共演”している。そして同3節サガン鳥栖戦の84分、直接フリーキックの場面で二人で話し合った末、結局、久保がキッカーを務めて今季公式戦初ゴールを突き刺したのは記憶に新しい。
二人の同時起用は、リーグ戦では今季初。先発で揃って臨んだのも今シーズン公式戦では初めてとなった。
左足の精度の高いセットプレーのキックを武器にする二人。昨季までは太田が基本的にはキッカーを担当してきた。果たして、どうなるのか?
松本戦の前半は、太田がキッカーを務めていた。すると後半からは、キッカーが久保に切り替わった。そのあたりはどのように話し合っていたのか。久保が松本戦後、次のように明かした。
「試合前にボール(キッカー)は使い分けたほうがいいという話をしていました。そこで太田選手が疲れたら自分が蹴りますと伝えていました。そこでちょっと変化を加えていきたいということだったと思います」
太田が先に蹴るなかでゴールが決まればOK。ただ、もしも相手がそのキックに慣れてきたら、久保が蹴ることで変化をつけられる。実際、鳥栖戦では、久保が終盤にキッカーとしてゴールを決めた”実績”も作っており、効果は大きいはずだという算段だ。
51分には、その久保のコーナーキックに橋本拳斗がドンピシャのタイミングでジャンプヘッドを合わせて決めたが……ボールがラインを割ったとしてノーゴールの判定に。
54分のフリーキックの場面では、鋭いボールを入れて、あと一歩誰かが触っていれば……という惜しいチャンスを作り出した。そのフリーキックについて、久保は次のように振り返っていた。
「中央が密集していて、永井選手と髙萩選手が(ニアサイド)にいて、GKは二人がいたら出てこれないだろうと思い、そこへ蹴れば何かが起きるかなと思って蹴りました」
17歳は常に思考を巡らせながらゴールの確率の高いプレーを選択する。その成功体験を今積み重ることで、プレーの自信にもつながっていることが分かる。
すべて久保が蹴ったほうがいいという声もきっとあるはずだ。ただ、結果的にはそのよう太田と蹴り分けたことで、久保の後半のキックも生きたと言える展開だったと言えた。
一方、太田は「チームが(無敗と)いい流れでずっと来ていたのでそれを止めないように、脅えていました。ただ、18人だけでこの成績を残せているわけではなく、自分もいつ出場機会が来てもいける準備は常にしていました」と語っていた。
直接FKのチャンスでは、久保がキッカーを務めることが増えそうだ。ただ久保も太田からキックに関しては触発されているのは確か。その蹴り分けができてきたことで、FC東京の令和のセットプレーは、より破壊力を増しそうだ。これから対戦するチームは要注意。5月4日の10節は、アウェーでガンバ大阪と対戦する。
文:サカノワ編集グループ