オフサイド見逃す「誤審」。どうすれば防げた?
長谷川竜也(16番)。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
川崎×仙台、長谷川の得点は「VARがあれば、ゴールは認められていなかった」。
[J1 10節] 川崎 3-1 仙台/2019年5月3日/等々力陸上競技場
川崎フロンターレ対ベガルタ仙台戦の37分、川崎が決めた2点目のゴールだった。脇坂泰斗の右サイドからのアーリークロスを、逆サイドにいた長谷川竜也がDFの前に詰めてワンタッチでシュートを決めた。しかしVTRで見ると、長谷川は仙台の最終ラインより体一つ出ていてオフサイドポジションにいた。クロスが放たれた瞬間、ニアサイドに小林悠とDFがいたことで、副審はその奥にいた長谷川のポジションまで確認できなかったのだ。
この「誤審」はどうすれば防げたのか? 「DAZN」のコンテンツ「Jリーグジャッジリプレイ」で、日本サッカー協会(JFA)のレイモンド・オリバー審判部副委員長が、その点について詳しく解説した。
「これはオフサイドです。(ニアサイドにいる)選手が副審の視界を遮っていたのでしょう。このVTR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を副審の方が見たらガッカリすると思います。VARが導入されていたら、このゴールは認められていなかったと言えます」
そのように「誤審」であったと指摘。VARが導入されていれば、ノーゴールになっていたと説明した。そのうえで、「まずオフサイドを判定するために、副審のポジションは非常に良かったと思います。ひとつアドバイスするとすれば、少し体がゴールに向いているので、ボール側に対して正対するようにすれば良かったかもしれません。そうすると、視界がもう少し開けます」と、助言を送っていた。
加えて、「このレベルのゲームを裁くのであれば、旗が上がってほしかったですね」と厳しい言葉も投げ掛けていた。
一方、「判定は、場合によってピッチ上にいる半分の人を怒らせることになります。(加えて観客もおり)そういった重圧を跳ね返せるメンタルタフネスが求められています」と、審判に求められる資質についても一言加えた。
川崎にとっては大きな2点目、仙台にとっては痛恨の2失点目――。明暗を分けるゴールになってしまった。
文:サカノワ編集グループ