史上初の女性監督ミラと鈴鹿の現在地。スペイン流の「引き出し」を増やす

「ミラスタイル」の象徴と言えた、指揮官がたたえたGKの勇気あるプレー。

鈴鹿のGK月成大輝。写真:新垣博之/(C)Hiroyuki SHINGAKI

 ホンダロック戦の鈴鹿は後半に入っても、課題のセットプレーに粘り強く対応。最後まで集中力を切らさず、「新たな引き出し」によって、上位相手のスコアレスドローという意味ある勝点1を掴んだ。

 鈴鹿は9節を終え、2勝2分5敗の勝点8で16チーム中13位。ミラ監督とともに一歩ずつチーム力を積み上げている。

 この日、鈴鹿は6度のオフサイドをとるなどハイラインをキープしながら無失点に抑えた。特にGK月成大輝のプレーは「ミラスタイル」の象徴と言えた。

 ボールポゼッション時はペナルティエリアを離れてパスを受け、両サイドにピンポイントでパスを散らす。一方、相手がボールを持った時には最終ラインをカバーする”11人目のフィールドプレーヤー”として機能していた。

 月成は今回ベンチ外から初のリーグ戦起用という大抜擢だった。「三重県サッカー選手権大会」決勝のヴィアテイン三重戦で、リードした延長後半に飛び出して決定機阻止で退場処分となる。するとチームは2-2に追いつかれたうえPK戦の末に敗れて、天皇杯出場を逃した。

 しかしミラ監督はその月成の勇気ある姿勢を買った。

「後方からのビルドアップを考えると、彼の足下の技術やフィードの能力は貴重。日本のGK全体で見てもその特長は秀でているわ」

 ミラ監督はそのように評価していた。

 試合後、取材対応をしていたミラ監督が会場をあとにする月成の姿を見つけると、小澤哲也通訳兼アシスタントコーチに伝言を託し、そのプレーぶりを称えていた。今季は怪我人が出ていたこともあり正GKを固定できずにいた鈴鹿だが、月成がその最も重要なピースにもなり得そうだ。

取材・文:新垣博之
text by Hiroyuki SHINGAKI

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