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【ACL】浦和、蔚山逆転の条件は「隠し玉」の活躍

ファブリシオ、長澤、橋岡らの抜擢はあるか?写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

長澤、橋岡、ファブリシオ…第1戦のデータを残していない選手をどう活用するか?

[ACL 決勝T1回戦-2nd] 蔚山 – 浦和/2019年6月26日/蔚山文殊スタジアム

 浦和レッズが6月26日、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)蔚山現代とアウェーでのセカンドレグに臨む。埼玉スタジアムでの第1戦は、青木拓矢のクロスに杉本健勇がヘッドで合わせ先制したものの、そこから1-2と逆転負けを喫している。

 浦和がベスト8に進むためには、2点差以上の勝利が必須(1点差の勝利はアウェーゴール数で上回れない)。または2-1で勝利した場合、延長(アウェーゴール該当せず)、PK戦に委ねられる。

 第2戦のポイントに挙げたいのが、「隠し玉」の活躍だ。

 蔚山の選手たち(元Jリーガー)やキム・ドフン監督(元神戸でプレー)からは第1戦後、オズワルド・オリヴェイラ前監督から大槻毅監督への体制変更により、どのような戦い方をしてくるのか、試合が始まってからある程度様子を見て対応したという話が聞かれた。

 蔚山現代は、引いて様子を見た序盤戦、サイドアタッカーのポジションを入れ替えた前半終了間際(1-1の同点にする)、さらに圧力を強めた後半、カウンターを決めた終盤(逆転に成功)と、さまざまな「顔」を見せた。キム・ドフン監督はさまざまな手を打ち、それぞれが奏功した。

 そのなかで、浦和もチャンスを作り出したがモノにできなかった。相手がアクションを起こした時に抗い切れなかった。

 試合後、キム・ドフン監督は「攻撃性を示すことができて、最後は守備でもよく耐えた。ただ『1試合』で言えば、まだ前半が終わったばかり。半分残っているので、次のステージに進めるように、ホームに帰ってしっかり準備したい」と気を引き締めた一方、サイドアタッカーのポジションチェンジについても「そうしてみたかったから」と多くを語ろうとしなかった。

 一方、大槻監督も同様に、修正点を聞かれると「すみません、後半戦があるので。また次の機会でお願いします」といっさい触れなかった。

 腹のうちはこの段階では明かさない――。あくまでも前半の戦いが終わっただけ。両指揮官の言葉からは、その緊張感が伝わってきた。

 そして浦和はその第1戦後の立正大との練習試合、橋岡大樹、ファブリシオ、長澤和輝、山田直輝がプレーしたことが、公式ホームページでも公表されている(柏木陽介、マウリシオは間に合わなかったか)。

 第1戦の反省を踏まえて、メンバーの入れ替えを含め、どのようなテコ入れを図ってくるのか?

 間違いなく、ホームでの蔚山は、アウェーの蔚山とはまた異なる「顔」で立ち向かってくる。それを上回るために、ホームで主導権を握りながら先制点を奪った時のように、相手にリズムを作らせないことが必須になる。

 そこで、鍵を握ってくるのが相手のデータにない選手だ。第1戦に出ていなかった隠し玉といえるタレントをどのように組み入れ、ゴールと勝利から逆算していくのか。セットプレーがそろそろ決まりそうな長澤、韓国人選手にフィジカルも運動量も根性も負けていない橋岡、一発のあるファブリシオ……元来”分析家”でもある大槻監督がどんな手を打って出るのか――。スタッフ陣にとっても、腕の見せどころになる。

 2017年のACL制覇までの道のり(それまでの敗戦を含め)を経験している青木は、「間違いなく、アウェーとホームではまったく別のチームになる。もちろん1試合戦い選手の癖などは知ることができたが、第1戦のことは忘れるぐらいの気持ちで臨みたい」と気を引き締めていた。

 実際、紙一重が大きな差を生むACLでは、2年前を知る選手たちの「経験」も重要なファクターとなってくるだろう。

 2017年、ラウンド16の済州ユナイテッド戦。アウェーの第1戦を0-2で落としたが、ホームで3ゴールを奪い逆転勝利を収めた。まずゴールに向かう攻撃の再現性を高め、「必ず決められる」という雰囲気を作ってから、1点ずつ奪っていった(1点入れば、一気に形成逆転できるという空気が埼スタに生まれていた)。あの時のように、焦れずに、何より諦めずゴールを狙っていきたい。

 アウェーで逆転を狙う非常に難しいミッションではある。ただ、2017年の「経験」とACL初挑戦組やニューカマーの「勢い」が噛み合えば、十分達成可能だ。

 そのためにはラッキーボーイであり、突き抜ける存在が出てくることが不可欠になる。いったい誰がその存在になるのか――厳しい戦いだからこそ、ヒーローの出場が楽しみでもある。

文:サカノワ編集グループ

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