原口元気がハノーファー指揮官と衝突。「これが初めてではない」と辛辣記事
ハノーファーの原口元気。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
口論する写真も掲載。「ハーモニーがカギ」とその姿勢を疑問視し、移籍にも言及。
今季ブンデスリーガ2部に降格したハノーファー96を中心に報道するドイツのスポーツメディア『シュポルト・ブッツァー』が7月18日、19日と続けて、日本代表MF原口元気に関する記事を掲載した。取材に基づいたレポートだが、原口がミルコ・スロムカ監督と頻繁に口論を繰り返していることについて、かなり辛辣な指摘をしている。
原口は18日の練習で、今季6年ぶりにハノーファーに復帰したスロムカ監督と練習中に激しい口論をしたという。記事によると、ポジショニングに関する練習中、走る方向について、指揮官がそこではないと指示したが、原口は別の方向を指して長く反論。そしてジェスチャーをまじえて意見がかわされたという。記事では実際にかなり激しく言い合う二人の写真も掲載されていた。
記者が問題視しているのは「何もこれが初めてではない」という点だった。6人の選手が3本のラインの中でパス交換する練習でも、ルールを理解できない原口に、スロムカ監督が何度も練習を中断して説明したことがあるなど、根本的なところで理解できずにいるという。
「オーストリアキャンプで、彼はアウフバウシュピーラー(ポイントガード=ビルドアッパー)としての役割を果たせずにいる」
「原口にとっては決して良いとは言えないシーンであり、原因がサッカー選手としてのクオリティではなくドイツ語にあることを物語っていた」
練習中の監督との口論は浦和レッズ時代にもあった話で、新指揮官とであれば起こりうることかもしれないが……。それが繰り返されていることに記者は首を傾げている。
すると、記事はここからストレートであり、かつ辛辣さを増す。記者は次のように、原口がプレーしてきた環境について指摘する。
「2018年のワールドカップでの日本代表、半年間在籍したデュッセルドルフで、彼は力を示せるトップ選手であることを証明した。
日本では仲間たちが彼への理解を示し、デュッセルドルフは母国に近い日本のための外国のメトロポリタンだった。
そういったところで居心地の良さを感じたのかもしれない。しかし、ベルリンやここハノーファーでは上手くいっていない。浅野拓磨も助けにはならなかった」
そしてハノーファーのマルティン・キント会長の「もしも彼に興味があるところがあれば、明け渡す準備ことも考えられる」というコメントも掲載している。ただし2021年6月まであと2年の契約を残し、高めの契約金(違約金)も設定されているということがネックになっていると伝えている。
さらに、「スロムカ監督は練習試合で、前線の左、右、中央、さらにセンターハーフなどで起用しているが、確固たる役割を見出せず、新たな移籍先もない状況だ」と、チーム内の状況についても触れている。
さらに翌日には、「日本人とハノーファーの間には大きなバリアがある」と題し、「ハノーファーに在籍した清武弘嗣、酒井宏樹、山口蛍、そして原口元気、浅野拓磨の5人についてのハノーファーとその後の活躍ぶりについてのレポートを掲載している。「その後は清武が最も成功し、酒井が1.5番手」という基準の見えない内容となっているが、つまりはそこから「原口の移籍についてクラブは熟考すべきだ」ということを訴えている。
そして最後は「ハーモニー(協調)は成功へのカギ。その出口を原口はハノーファーでは見出せずにいる。彼のこれからのキャリアにつながるカギは、クラブを替える以外にない」とまで書かれている。
ドイツでは日本人選手も「助っ人」である以上、チームがこれだけ低迷してしまうと、成績を残せずにいれば(昨季ブンデス1部28試合0得点)、少なからず風当たりがあるかもしれない。とはいえ、一理はあるもののやや内容が過剰になってきている感もあり、クラブはこうした主張に対し静観を続けるのか、原口に対するフォローはあるのか。実際、指揮官はどのように思っているのか。何より原口の胸中はいかに。
28歳の原口が6年目を迎えたドイツの地で、新たなる試練の時を迎えている。
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[文:サカノワ編集グループ]