西野朗タイ代表監督が就任インタビュー「思い出深いスパンブリで受けたインパクト」
タイ代表とU-23タイ代表の兼任監督に就任した西野朗氏。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
タイ紙の取材に「日本のスタイルと似ているところがたくさんある」。
タイ代表とU-23タイ代表の監督に就任した西野朗氏がこのほど、タイ最大部数を誇る『タイ・ラット』紙(約100万部発行)のインタビューに応じ、その動画が『ユーチューブ』で公開された。日本サッカー界の世界への道を切り開いたアトランタ五輪アジア1次予選のタイラウンド初戦のU-23タイ代表戦(日本が5-0で勝利)について、「あのスパンブリでの試合は思い出深くインパクトに残っている」など就任理由を明かし、抱負や今後の活動について語った。
1985年5月26日、西野監督率いるU-23日本代表がアジア1次予選のタイラウンドの最初に対戦したのが地元のU-23タイ代表だった。松原良香の2ゴール、小倉隆史、城彰二、森岡茂の得点で日本が快勝を収めたが、スコアほどの差は感じなかった。むしろ苦しめられた。
「思い出深いのは五輪代表時代、スパンブリでのタイ代表戦。タイの強さ、上手さにすごくインパクトが残っています。なぜ、タイ代表が、少なくとも東南アジアでリーダーになってやれていないのかと不思議に思い、昔から興味のあるチームでした」
その頃から可能性に魅せられてきたことが、今回の就任につながったと明かしている。また兼任監督として「強化」と「育成」の両輪で、タイのサッカーのベースアップを図る決意も示す。
「たくさんすべき準備はあります。(代表チームの)編成にあたっては国内事情、リーグのみならず、育成世代のサッカーの現状も把握しないといけない。すべてを網羅するスカウティングをして、現状を知ることが大事だと思っています」
そして日本とタイの共通点は「多い」とも語る。
「日本人のスタイルとはそこまで異なっていないと思います。似ているところはたくさんあります。特に技術的なところは感じています。メンタリティに関しては、(北海道コンサドーレ札幌の)チャナティップを見ていても、代表としてのスピリットをしっかり持っている。また、日本のチームのスタイルと非常に似ているところがすごくあると思います。成長する可能性はたくさん感じています」
初の日本人監督となる。2018年のロシア・ワールドカップ(W杯)で日本代表をベスト16に導いた指揮官の招へいに、タイサッカー協会の本気度も伝わってくる。2020年の東京五輪、そして2022年のカタールW杯出場が目標となる。
ただし西野監督は1日1日の積み重ねが重要だと強調する。
「チームが一朝一夕で強くなることはないので、着実にアプローチしていかないといけない。トップチームのみならず、育成世代からしっかりと強化して、育成世代が世界に出ていかないと、トップにはつながっていかない。着実にプランを立ててやっていくことが大切だと思います」
”西野タイランド”がどのようなカラーに染まり、どのようなサッカーを展開していくのか――。日本との各年代の練習試合や強化試合も組まれていきそうで、これからの展開がとても楽しみだ。
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[サカノワ編集グループ]